2007年10月23日火曜日

10月23日(火)匿名の電話と手紙

匿名の電話と手紙
1.決して多くはないが、時に「匿名の電話やお手紙」を頂く。圧倒的にお手紙の方が多い。PTA会長経由匿名の「クレーム」も最近一件あった。頻度はこれまた「忘れた頃にやってくる」という感じだ。内容は大体「生徒と教員批判」が主体でお褒めにあずかるものは殆どない。
2.批判の内容には大別して「三つの種類」がある。
部活動に関するもので、特に監督や部長に関する批判の内容
② 通学途中の生徒の行動に対する批判の内容
③ 授業担当者や担任の力量に対する批判の内容
①と②は差出人がどなたであろうと、手紙の内容から事態の把握は十分可能であり、学校側もすでに手を打っているものが多いし、それが利害関係者であろうが、なかろうが「すぐに打つ手は決められる。」簡単に言えば内容は真実か、現状はどうかを追究しながら学校長としてのアクションはすぐに取れるからだ。問題は③である。
3.③は明らかに「自分の子供が不利益になっている」という不満が大きな動機になっており、さりながら名乗って追求することまでの勇気はないので、匿名とされてくるのだと思う。その心は「名前を明かすことで子供に不利益をこうむらない様に用心」されておられるのであろうが、「学校や教師はそのような報復やリベンジなどは絶対行わない。」これだけは断言できる。
4.基本的に教師は「子供が好き」でこの職業を選択しており、生徒個人にどうの、こうのという先生は少なくとも本校にはいないと確信している。「学校教師は教科別,担任非担任別、分掌別、学年別と4軸で動いており、民主的と称して決して一人で判断する癖などはついていない。(だから困るところがあるのだが・・。)「堂々と名前を名乗ってクレームをつけた方が逆に歓迎される」と私は思う。
5.学校に来て「問題点を指摘する保護者」はおられるが、主張が明確でこちらも対応し易い。出来ることと今、出来ないことを時間をかけてご説明すれば大抵はご理解頂ける。「匿名も非匿名も教育熱心な保護者」であることは間違いない。本校には「モンスターペアレンツはいらっしゃらない。」
6.「匿名などの投書は無視すべし」という声もあるが、私としては、「姿なきお声」にもお応えしたいという気持ちはある。しかし漠然としたお話で、状況が最後のところで特定できないと本質的な解決策が見当たらない場合もあり、すっきりとしない。匿名のお手紙だけで校長が授業担当者を変えるとか担任を変えるとか、出来るはずもない。
7.教師に言わせれば「どの保護者か大体想像はつきます。」と言う。情報源は圧倒的に自分の子供からだと思うし、その生徒が保護者にどのように言っているのか当方ではさっぱり分からないだけに、手紙の内容と現状が一致しない時は結構多い。「学校は生き物」であり日々変わっていく。必ずしも子供のいうことがすべて真実とは限らないと私は思う。
.電話の場合は手紙と違って、相手の肉声が聞こえるし、校長も「お母さん、そこまで言われたんだから、お名前を教えてください」というも決して名乗らない。でも私と話しているうちに気持ちが落ち着いてくるのか、最後のほうは「校長先生、宜しくお願いします。頑張ってください。」と激励になったりする。しかし手紙は困る。感情が伝わってこないからだ。
9.1500人もの生徒をお預かりしており、教職員の数は140人を超える。様々なタイプの生徒がおり、能力もキャリアも経歴も全く異なる先生方がいるのが「学校」である。1クラス40人をユニットとして、授業を展開している。「40人の生徒は一人ひとり学習意欲も、学習蓄積も異なり」、それをまとめて50分間の勝負をするのが教師である。「まず授業第一」、50分の間で「この授業でどれくらい生徒の力を高めたか」が教師に問われ、生徒はどれだけ「保護者負担の決して安くはない授業料に見合う知識と考える力をつけたか」である。このバランスが崩れると学校批判に繋がってくる。
10.いずれにしても学校は批判は批判として謙虚に耳を傾け、対応していかなければならない。それは本校は私立学校だからである。わざわざ公立を外し本校を選択していただいた「生徒・保護者には言われないそれぞれの事情が1500人分ある」と考えれば分かり易い。高い授業料は「本校の面倒見の良さ」が買われているのだ。