2007年11月27日火曜日

11月28日(水)給与振込みについて

1.給与振込みについて
・ 本校において「給与や賞与一時金の個人口座振込み」が開始されたのは、極めて遅く、平成9年10月と言うから、丁度今から10年前のことだ。社会一般に比べ極めて遅いタイミングである。ここにも世間から乖離した姿を見ることができる。
・ それまでは月度数千万円、期末手当ウン億円を事務職員が金融機関に取りに行き、教職員一人ひとりの「封筒詰め」をしていたと言うから驚く。さすがに一時金の場合は事務室では狭くて出来なくて、大きな会議室で内側から鍵をかけ、作業をしていたという。100数十名への1円単位の封筒詰めは大変だったと担当者は言う。しかし給与、それだけではなくて「手当て」や「PTA会計からの手当て」など3つに分かれ、「一人の教員あたり3つの封筒詰め」だ。これは「今日では有り得ない話」だろう。
・ しかし問題はこれではない。スタート当初現金振込みを主張した人間が16名。それが平成15年まで続き、この年、強い事務室からの「お願い」があったのだろうと思うのだが11月の時点で5名まで減少し、その後3年間、本年4月までこの「5名が現金受給を継続」してきた。私は徹底的にデータを分析するから手元に当初からのお名前リストがあるのだが、ある教科に集中している。組合教員に集中しているということはまったくない。偶然なのか、誰かの影響力があったのか、今後調べていきたい。
・ 1月理事長に就任して事務室に「何か事務処理で困ったことはないか?」と聞いたら、「パッ」と最初に出てきた言葉が「この5名の現金支給で困っている」と言うことであった。昨今の大阪での「引ったくり事件の多発」、あってはならないことだが「封筒入れのミス」等々、それよりも「今や例外作業」に伴う非定常作業の心身に及ぼす影響であって、封筒管理に随分と気を使ったらしい。直ぐに取りに来てくれればまだ良いが、しばらく取りに来ないと金庫に現金を保管し、「やはり気になる。」というのだ。気持ちは良くわかる。銀行や郵便局に現金を受け取りに行き、学校に戻るまで緊張してとても肩が凝ったという。
・ 直ぐ対応した。5名の教員を個別に理事長室に来てもらい、「協力」を要請した。労働基準法は「本人の同意がない限り現金支給」が法的根拠であり、それは分かった上で、昨今の現金扱いに関するトラブル回避の視点で、「理事長が頭を下げて」依頼したのだ。
このときの私への対応態度で「人物像」が見えてきた。
・ 2名は理事長の要請にすぐ応えてくれた。「はー、」と、こちらが拍子抜けするくらいだった。ある人物は、随分前、1万円封筒の中身が少なかった事件があったらしく、事務室不信で凝り固まっていたが、「何とか理解してくれた」。1名は「家族と相談する」と言い、その後「了解してくれた。」家族と何を相談するのか今でもよく分からない。問題は、ある教員で「なんや、かやと言い張り同意しない」。その話し合いの過程で雇用者、給与支払者たる理事長に対して無礼千万の態度があったので、これとは切り離して厳しい対応をとった。おそらくこの教員は私が1月9日着任で1ヶ月も経たない1月の終わり頃、「何も分からないくせに、振込みにしてくれませんか」などと迫る理事長に「一発かましたれ」くらいの感じだったのかもしれない。
・ 結局2月から4月にかけて色々あったが、5名全員同意してくれ、晴れて4月から全員給与振込みとなった。事務室からは大変感謝されたが「今後絶対給与計算に間違いがあってはならない。」ときつく厳命している。
2. 期末手当は年2回に
・ これも今年から変えた。今までは年3回に分割して、期末手当てと称するいわゆる賞与・一時金を支給していた。冬が大きく、次に夏季、3月の年度末は約0.3ヶ分弱程度であるが、これを「年2回の支給」にした。勿論年間ベースは同じだ。これなど今やどの社会でもないのではないか。公務員給与制度の名残だ。
・ これには表立って反対の声はなかった。事務室は大変喜んでくれた。それはそうだろう。支給事務処理が1回減少し、年度末の資金段取りに気を使わなくて済むからだ。教職員も夏場の収入が増え、家族との夏休み資金がある程度確保されるから悪くはないと思ったのであろうか。
・ しかしある人間が私にこのように言う。「現金支給時代、3月末分は家族に内緒のへそくり」だというのだ。だから振込みは酷だというのだが、信じられない。そういう人間は本校には居ないだろう。自分で稼いだお金はそれを支えてくれた家族全員のものだろうと言いたい。又ある人はこのように言った。「振り込め詐欺」にあったら、どうしますか」と。返す言葉がない。
・ これも事務室には厳しく指導した。もっともっと真剣に「間違いなく、合理的な、結果として教員の為になるような仕事をせよ」と。事務室は単なる事務処理屋ではない。「経営のスタッフ」であるべし。事務室全員が事務処理屋になっては、元々誇り高い教員からは一段下に見られると。「一目も二目もおかれる存在たれ」とこの10ヶ月言い続けてきた。
3.個人パソコンで手当ての申請
 ・10月1日に「全員に個人パソコン」を貸与した。これを使い、来年4月からは諸手当は「個人申請主義」で各人から申請してもらう。「IT時代のシンボル」だ。今や府立高校でも当たり前のことがようやく本校でも可能となる。そのシステムを今、名古屋のソフトメーカーに作って貰っている。
 ・ようやく「キャッシュレス時代」が本校でも到来する。言葉にかけば簡単だが此処まで10ヶ月。事務職員も教員も誰も悪気はないのだと思うが結果として全員が現状に疑問を抱かず、「変えようとしない、現状にどっぷりと浸っている」だけの「化石みたいな学校」から今「時代の先端を走る学校」へと変身しつつある。結果として理事長の勝利ではなくて新しい理事長・校長を戴いた教職員の勝利ではないか。私はそう思っている。組織のリーダーが「学校を変える責任」とはそういうものではないか。