2007年12月17日月曜日

12月17日(月)常勤・非常勤講師・・その2

1.組合の立場
・ 当然労働組合の立場からは正規非正規、専任教員と常勤講師との格差についてその是正のための「労使交渉」を要求するのは当然であると受け止めている。もし本校においても改めて正式な文書での回答を求められたら、理事長として下記のような文言になるかなと思っている。
・仮定の話として   専任教諭と常勤講師との処遇差について(案
  標記の件につき下記回答申し上げますので宜しくご理解頂きますようお願い致します
                  記
① 組合の言われる専任教諭と常勤講師間の処遇格差につきましては主張される意味は理解できますが現時点ではご要望に沿える状況にはありません。この問題は広く社会全般の問題のひとつであり、国政レベルでも正規社員と非正規社員即ちパート労働者等との格差など大きな議論があり、NHKでも「ワーキングプア」問題として特集を組んだりしています。教育現場でも実態は正規教員、常勤講師、非常勤講師、嘱託勤務他色々とあるところであり、本校のみの固有の事態ではなく他の私立学校や、公立学校でも抱える課題の一つであると認識しています。
② 組合は良くSame Work, Same Payと言われますが、この 議論には大筋では理解できても留意しなければならない点があると考えます。即ち Same Work、Same Contents、Same Pay なら議論に乗れます。形は同じ仕事でも現実には中身や結果は異なるということです。ここを外して同じ仕事だから同じ処遇をという訳にはいかないと考えています。同じ中身ならまだしも形が同じだからという議論には乗りかねます。
③ 処遇分配の財源は同じであり、パイを膨らますことができれば成り立つ議論かも知れませんが、少子化の中では厳しい経営実態があり、現在の本校の体力ではパイの増大は不可能であり、やるならば現在の本校の専任教諭と常勤講師との人件費財源をプールしてそれを適切に分割することは可能でしょうが、その提案は専任教諭に受け入れられないと想像します。もし可能なら経営側としては検討する用意があります。
④ 元来専任教諭は言ってみれば「同じ船に乗る運命共同体的な結びつきが基盤」であり、もちろん「転身などは自由」ですが、原則、「終身雇用として労働契約」を結んでいると考えることも出来、「職業選択の自由度」は常勤講師ほど大きくはありません。それに常勤講師の方々も様々な形態があり、必ずしも専任化を望んではいないケースもあるし経験、能力に差があると考えております。
⑤ 申し上げたいことは厳然と専任教諭と常勤講師にはそのミッション、形、有様、将来など大きな違いがあるということです。そういう意味で同じ仕事をしているから同じ賃金をという訳には現時点ではいかないという考えにご理解を頂きたいと思います。常勤講師の時はじっくりと本校を観察頂き、自分の生涯の職場と判断する為の時間だという考えもあります。本校のカラーに合致しないままで専任化するとお互いに良い結果を生みだしません。経営側も常勤講師の方々の専門性、指導力、経験などじっくり見定める時間も必要だと考えています。
⑥ ここの議論で気をつけなければならないことは両者にまたがる「不公平感」が現場にあってはならないことです。専任教諭は完全な年功序列賃金体系であり、ベテランになればなるほどそれだけの仕事内容が期待されており、その見返りとしての年功賃金です。例えば常勤講師に担任を任せ、自分は担任から逃げてばかりいて、学校行事への参加意識が低く、持ち時間も少なく、服務規律も疑問があるような専任教諭がもしいるとすれば、常勤講師の先生方にとっては賃金格差もあり、不満が出てきて当然だと考えます。
⑦ 常勤講師の先生方は輝くような専任教諭の働き振りを見て「私もあのような教師になりたい」とお考えになると思います。専任教諭は常勤講師の模範たるべきを求められて当然だと考えます。常勤講師は大学卒業後の若い教師が多く、経験不足もある場合があり、そこを指導し支援するのが専任教諭だと考えています。その能力、経験、ロイヤリティなどの相当分が専任教諭に与えている処遇差だと考えることもできます。この点を考えれば即Same Work, Same Pay ということにはならないと考えます。
⑧ 今後教職員の処遇形態には様々な議論があろうと思いますが、「人材育成、能力評価、処遇反映システム」の検討もその一つだと考えています。公立学校ではすでに4年先行し、本年から具体的に処遇に反映されるようになりました。昇給、一時金に大きな差異が出てくることが現実のものになってきています。教員社会における Same Work, Same Pay の原則が完全に崩れました。
⑨ このように今ようやく学校社会でも年功序列賃金の体系が変わりつつあります。一般社会では当たり前のことです。分配のパイを個々人のアウトプットで配分する時代は今や世界共通のことです。学校社会もそれに近づいてきました。「コンテンツ」で配分する時代の到来です。そうなれば様々な形で常勤講師の先生方の頑張りに対する処遇反映がなされると考えます。
⑩ それまでの間は本校では「理事長特別賞与」として頑張る専任教諭や常勤講師には一時金で報いていくのも一つの考えです。もちろんそれは校長の恣意的な評価ではなくて「クラス経営能力」「分掌対応力」「教科指導力」「部活動指導力」「服務規律」「生徒生活指導力」等々を公正に判断して目覚しい実績をあげた教諭、常勤講師、時には非常勤講師にも実施しなければならないことは当然です。
⑪ いずれにいたしましてもこの課題につきましては誠意を持って今後とも対応してまいりたいと考えています。

  以上 経営側が現時点で考えている点を申し述べました。今後とも引き続いて議論していきたく、宜しくご理解とご協力をお願い致します。                            
                                    以上