2008年4月19日土曜日

4月18日(金)その1:学費滞納

公立高校学費滞納
・ 全国の都道府県立高校で「06年度の授業料・入学金の滞納が総額4億5955万円に上る」。毎日新聞が調査し今朝の1面に記事が載せてある。先の千葉県立八千代西高校で入学金未納の2生徒を入学式に出席させなかったといった事件が話題になり私もブログで意見を書いたりしているが、未納、滞納実態は恐るべきものだ。
・ 調査は47都道府県を対象にし、一部未集計未回答の府県はあるが私の感覚では定義の問題などで「未納なし」と応えている秋田、石川、京都府、愛媛、長崎、熊本、大分、沖縄は、正直「本当かな?」という印象を持つ。一人も滞納者がいない訳がないと思うのは普通の感覚ではないか。
・ 授業料の滞納額は断トツで「大阪府は2億2611万円で全体の49%を超える」。数も2768人であるがこの数値は少ない。実態はもっと多いと考える。大阪府の滞納額は06年度は対前年比1.7倍、信じられない伸びだ。「何があったの?」という感じだ。1年で1.7倍などあり得る?
・ 授業料の「滞納が原因の退学者は全国で429人、うち大阪府は419人とほぼ全て」を占めている。「一体どういうことか」理解に苦しむ。このように観て見ると「大阪は全国とかけ離れた土地柄」に思える。しかし住んでいる私から見れば何処とも変わらない。しかし「Why?」だ。
・ 公立高校勤務時代からこの事態は知っており、未だに大阪のこの数値は理解できないのである。「低所得層が多い、零細企業、中小企業が多いなどと説明されてきたが私には理解できない。」「何かが隠されている」としか思えない。
・ あるいは「徴収業務がなっていない」と考えるかだ。新聞記事には大阪府教委のコメントとして学校に来ていれば「退学にはしない」とあるが、良く分からないコメントだ。要は退学の多さは「学習意欲のない生徒が多い」と言いたいのかな?
・ ある人は「ビトンのバッグを持って、ベンツで乗りつけ、授業料減免の資料を提出に来る保護者がいる」などと言うが、本気になって学費滞納の調査をしたらどうか。真面目に苦しい中で、払って頂いている保護者に申し訳が立たない。
・ 本校は私学である。滞納を放置していたら経営は成り立たない。「滞納者は多いが、私はしっかりと払って頂く努力を事務と教員に指示」している。私が来る前は「滞納の徴収は全て事務の仕事」としていたが、これは間違っており即刻変えた。「担任と事務のコンビネーション」で解決を図ることだ。
・ 「生徒のことを最も分かっている担任」が事務と組んで対応することが解決の近道だ。「家庭訪問などは担任の仕事」だ。ところが教員というのは「こういうことをシタガラナイ」。あれこれ理屈を言う。
・ 「生徒が可哀想で、可哀想で・・・・」という先生もおれば、「教師が憎まれ役になっても・・・・」と言うのがいたりして、あるとき「一喝」した。「君らの給与はどうなるのか、真面目に支払ってくれている保護者にどう説明するのか、他の先生方の授業はすべて無料の授業となるが、それで良いのか」云々だ。
・ それに「新たな奨学金の道はないか方法を探る」、最後は「公立への転校」もあり得る話だ。家庭の経済状態からすれば「授業料の安い公立の方が良いに決まっている。」このようにして喜んで転校して行った例もある。
・ 様々な家庭環境を抱えているから、滞納、未納になるのであり、「確かに生徒には罪はない」。不安を抱かせないように配慮するのも当然の学校の役目だ。特に中学校は気をつけなければならない。義務教育であるからである。
・ 高校生ともなると「幾分、大人に近づき」、このような事態も理解できていたりする例もあり、冷静な対応をする例が多い。昔の例だが「お母さん、だらしなくて駄目、お父さんに言う」と言って即座に解決したこともあった。
・ 今のところ授業料滞納で「退学処分」とした例は本校にはない。担任は生徒が可愛ければ「事務に行って、内のクラスの生徒の授業料納入はどうなっているでしょうか」などと時々問い合わせがあって然るべきだ。もっともなくとも事務室から連絡はいくがね。
・ それよりも問題は未納のまま、学校を形だけ卒業していった場合だ。卒業証書を預かったままで何年もたつと保管するほうも大変だ。それよりも問題は「学校会計基準」にのっとった、「会計処理」である。
・ 未納は年度末にまとめる「決算処理」上は「未納金」処理だ。しかし「入金される見込みはない」。何年もその状態が続くと、会計処理を誤る。未納金は何時かは入金されると期待されているお金だからである。このようなお金を当てにして予算は組めない。
・ 私が着任した時には未納額が数百万円を超えており中には数年越しのものもあった。私はこれを思い切って「損金」として処理し、「会計を身奇麗」にしたのである。辛かったけど仕方がなかった。企業や銀行で言う「不良債権」や「焦げ付き」と同じだ。そのような努力をして20年度卒業生の未納、滞納は一切なくなった。教職員が大変良くやってくれた。