2008年4月28日月曜日

4月28日(月)遠足の女教師の手に触れたがる

遠足
・ 表題の句は山口誓子である。良い句ではないか。対象は小学校高学年か中学校か。高校ではあるまい。ホトトギスには「お祈りをして遠足のお弁当」「遠足の列を引き裂く交差点」。遠足という言葉の響きも良い。
・ 日本の学校、全国でこの時期「遠足」だ。先般もなんばの南海電車のコンコースで床に小さな子供たち座らせ、大人が取り囲むようにしてそのうちの一人がハンドマイクでしゃべっていたが、あれは小学校の遠足の帰りで、先生が恐らく自宅へ帰る注意事項などを説明していたのであろう。いまどき良く見かける光景だ。
・ 重要な学校行事で幼稚園・保育所、小学校では必ず行われる学校行事であり、「学習指導要領」にも特別活動として行うべき学校行事として明記されている。中等教育でも行われており、浪速中学も高校も実施している。
・ 昔は言葉のごとく「徒歩で遠出」するものであったが、現在ではバスや公共交通を利用することが多くなった。遠足の原則は「日帰り」である。目的は「集団行動と公共性を身に付ける」ために行われるというのが主体である。
・ 頻度は春、秋のどちらか1回か両方とも行うかであるが、学年にもよる。前の公立高校では3年生にもなって秋の遠足をしていたが、これは「やめてもらった」。本校でも3年生が秋にやっているというのでこれ又、廃止とした。受験勉強だろう。遠足なんてとんでもない話だ。3年生の後期にもなって、「卒業まで3ヶ月くらいになっている時期に集団行動とか公共心とかでもなかろう」。
・ 一回のところは「春か、秋か」で時に議論が出る。なるべく早い段階で実施し「クラスの団結を高めさせる」という意見もあれば「5月では早すぎてまだばらばらだ」と反論の意見も出る。
・ 教師も実は大変なのである。まず本年度のコースをどこにするか決め、「下見」をすることになる。当日は必ず「遅れてくる生徒」がいたり、ふざけて「ちょっとした怪我をしたり」「交通事故にあわないよう目を配ったり」学校総出で対応することになる。
・ 遠足のハイライトは郊外、校外での「お弁当」だ。私も亡くなった母親が朝早く起きて私の好物を作って持たせてくれた。どこへ行ったかは忘れたが「食べたお弁当だけは覚えている」。まず卵焼きは欠かせない。それにウィインナーだ。切込みを入れて炒めており少し反っているところがよいのだ。それに私の場合は必ず厚手のハムだ。生のハムが、それも白いところのあるロースハムでなければならない。それに主食は大きい「おにぎり」で、のりがぐるりと全体をまいていなければならない。母はりんごを「うさぎチャン」みたいに格好良く切ってはくれなかったが、バナナが入っていた。当時のバナナは今みたいに安くはなかったはずだ。懐かしい。思いだすと目頭ガ熱くなる。
・ それに今みたいに自販機などないから水筒は絶対だ。中学生に水筒って知っているかと聞いたら「それ、何ですか?」と聞いてきた。今はペットボトルの時代だ。確かに軽くて味も良いわなー。
・ ところが教員に聞いてみると「お弁当を持って来ない生徒」もいるらしい。「コンビニで買う」とお金を持ってくるとか、近くのハンバーガーで済ませるとかというのもあるみたいである。世の中は変わってきている。
・ 本校では昨年まで科コースでバラバラの行き先であったが、本年から「学年で統一」された。大変結構だと思う。高校3年生は京都、京大、銀閣寺、哲学の道、南禅寺、この近くの公園で昼食、円山公園、清水寺、矢坂神社のコースだ。「良いコース」だ。
・ 2年生は宇治に行く。平等院、宇治上神社、「源氏物語ミュージアム観覧コース」で3箇所のチェックポイントがあるという。2年生の学年主任が国語の先生だからこのコースはうなずける。今源氏ブームだからここも面白しろそうだ。
・ 2年生は619名の大部隊を引き連れて「奈良」という。奈良公園集合で国宝転害門から黒髪山神社を経てうわなべ古墳から「平城京跡」だ。資料館見学が必須としている。「付き添い教員が23名」だから大変だ。中学校も全学年で神戸のほうに行く。これは「完全にピクニック形式の典型的遠足」だ。どこへ行くか報告は受けたが今思い出せない。なんとか山だったと思う。最近すぐ忘れる。
・ 我々の時代は遠足、林間学校、修学旅行と3部作が揃っていたが今は林間学校はない。大体運動部などは豪華に飛行機を使って宮崎合宿とかしているし、今日、家族で旅行やドライブなども当たり前で「知らないところに行く」という意味合いはない。それよりも「集団で行動し仲間同士で一日青空の下で歩くということの意味はまだある」と考えている。
・ 私がひそかに復活を狙っているものは「強行遠足」、あるいは「強行軍」ともいう。長距離をただ黙々と目的地に向かって歩くことだ。今でも伝統校はこの行事を残している。大阪府でもある。有名なものは「甲府一高の強行遠足」だ。朝5時学校を出て男子は55キロ、女子は7時30分出発で30キロだ。テレビでも放映されていた。80回を数える伝統行事だ。本校でもやりたいなー。
・ 一度体育の教員数人にそれとなく言ってみると「即座に否定」だ。「交通事故が恐ろしい」というのだ。交通事故は田舎道でも起ころうがと思うのだが。本校の遠足は30日である。無事の生還を祈る。