2008年6月4日水曜日

6月4日(水)その2:有給休暇を買い上げる

有給休暇取得状況と対応
・ ここ数週間深く考えていることがある。それは教職員の「19年度分の有給休暇取得実績」が最終的に確認されたからである。何が問題であるとかと言えば「教職員間でばらつき」があるからである。「放置できないばらつき」である。
・ 管理職を除き、専任教員の平均が16.8日であるがこれは平均値で「多いほうのトップ3は28.1日、27.8日、23.2日」、少ない方では「2.4日、4.7日、5.8日」となっている。
・ 事務では平均が7.3日と教員の半分以下であるが、4月に職場の替わった職員を除けば「5.6日となり教員の1/3」だ。校務員さんも5.9日と少ない。事務の人間は元々数も少ないので融通が難しい面はあるのだが「これでは事務職員残酷物語」だ。
・ 教員も同じことが言える。1年を通じて2.4日しか有給を取らない人間と28.1日消化している人間が居て「はい、それまでよ!」とは言えないのではないかと考えているからだ。
・ この2.4日の教員は「必死になって生徒のために自分の時間を使ってくれている」ということだ。管理する側が「有給をとりなさい」と言ってもそんなことは眼中にないのだ。我々は彼のこの奉仕に甘えている。
・ 事務だってそうだろう。私が来る前の「事務職員のポジションは教員のしもべ」みたいなところがあったらしく、初めて事務職員の地位が私のお陰で上がったと喜んでもらっても「酷使」されているのでは内心辛かろうと思う。最もこれも昨年からだが。その前はゆっくりゆったり。
・ 有給の取れる人間だけが取れてというか取って、取れない人間は取れないのを放置とは行かないのではないかとここ最近考えていた。最もこの話しは「去年から出てきた現象」でその前は全員の有給実績は1.5日とか2日とかで極めて少ない。
・ その理由は「自由出退勤の学校」であったから労働基準法もへったくれもあったものではない。好きな時に来て好きな時に帰ることが許されていた学校で「統計データもない」のだ。20世紀初頭のような学校であった。
・ ひどいのになれば終業式に出てきて、次の出勤日は夏休み明けの始業式だったという信じられないような話を耳にした。又それも何処にいるか誰も把握してなかったというのだ。「こんなの、ある?」。
・ 昨年から「就業規則を変え、変形労働制」を取り入れ、「時間休」が取れるように大幅に改善した1年目の有給取得実績がこの結果である。余りにも「爬行性」があり過ぎる。データを眺めていると特徴がある。年配の教員ほど取得率が高く若くなるほど低い。女性教員は概して「お一人を除いて」取得比率が高い。男性より4~5日は多い。
・ 年次有給休暇に関する規定は「労働基準法39条」である。極めて重要な法律で全てがこの法律から出発している。法廷論争でもこの39条の解釈が問題となる。例えば39条4項は使用者は年次有給休暇を「労働者の請求する時季に与えねばならない」とあるが一方では「時季指定権」や「時季変更権」が管理側にある。
・ 有休を「自由利用の原則」と言って学校の教職員が好き勝手にとれば授業が成り立たなくなりこれは大問題である。又団体に属する教職員が「一斉休暇闘争」でもしたら学校は休業になる。
・ しかし過去の判例において一斉休暇闘争の有休は労基法上の趣旨から言えばこれは有休と見做されず、賃金は払う必要はないという判例もある。いずれにしても微妙であり難しい。従って「学校の教職員は生徒の夏休み、冬休み、春休みを利用」してリフレッシュするというのが一般的であったのである。
・ 時間休を取りまくり、担任が「生徒のホームルームに顔を出さない」のは問題である。時間給を取りまくり「何時も時間変更する教員も大きな問題」である。当たり前だろう。急に時間割が変わったら「生徒は予習などしてきていない」し、大体教師の事前の教材研究無くて、すぐ行ったことも無いクラスへ授業に行って「効果ある授業ができるのか」という問題もある。
・ 1年前までは勝手に休んで生徒の自習が年間1000コマ以上あり、「これは授業料の詐欺だ」と怒り心頭に達しこれは完全に改め、ようやく自習は基本的にはなくなった。しかしどうもまだ「時間割変更が多そう」だ。元来時間割変更など余程のことが無い限りあってはならないのが学校である。公立高校ではまずない。あっても台風とか天変地異の時だけだ。
・ 事務室の職員の有給取得のために「2名の派遣職員を職員並みの勤務時間」として対価を支払うこととした。2名の女性職員には「月度1日、土曜日を交互に指定有給休暇」とするよう事務長に指示した。これで格段に増えるだろう。事務職員救済策だ。
・ しかしそれでも爬行性は解消できない。考えた結論は以下のようにしたいと現在弁護士に相談するよう事務長に指示した。即ち「未消化の有給休暇を買い上げる」のである。
労働基準法を勉強しているのだが「買い上げ行為が使用者による無言の取得抑制」に繋がってはいけないのだが、「事後買い上げ」は「労働基準法の趣旨から言えば好ましいことではないが、そのこと事態は基準法違反とはならない」というのが一般的な解釈である。勿論事前買い上げは許されないと明記している。
・ 案は前年度の平均数値まで個人の実績数値との差を最大としてご本人の希望日数を買い上げる方式とし、支払いは「7月の賞与・一時金に合算して支給」する。例えば前述した2.4日の教諭は平均が16.8日だから16.8-2.4=12.4日まで買い取らせる権利があり「最大とすれば30万円を超える臨時収入」が夏のボーナスに入ってくることになる。
・ この方式は教職員に「大変喜んでもらえるのではないか」と思う。一つの「善政」と思っている。管理職の朝会で考えを述べたら賛成して貰えた。勿論金で解決するのではなくて「しっかりと有給取得を奨励すべき」であることは分かりすぎるくらい分かっているのだが「ここは企業ではない、学校だ」労働基準法の適用にも「変化球」があって良い筈だ。私は労基署と論争してもこれを実現してやりたい。