2008年7月10日木曜日

7月10日(木)その1:私学助成問題

・ 「ギャー」と言うべきか「ヒャー」というべきか、遂に私学助成も本質的な問題に迫ってきた感じがする。今朝の各紙、いずこも「囲み記事」で力を入れて書いている。記事の文言から、大阪府の意図が読み取れる。僕みたいに新聞記事を欠かさず目を通していると自然と奥が見えるようになる。
・ 大体新聞の「教育欄」は社会部の記者の中で「教育担当」が居て、その記者が記事にするのだが、一般的に若い記者が多いというのが私の経験からくる実感だ。教育を担当して次のキャリアパスに行くと育成ルートがあるのかも知れない。
・ 何を言いたいかというと教育関係の記事の文言を読むだけでその記者の力の入れよう、あるいは「被写体」の動向が読み取れるのだ。今朝の各紙、例えば産経「大阪私学助成格差6倍、橋下知事改善策を検討」、毎日「補助金格差最大6.7倍、橋下知事配分を検討」などとある。
・ 要は大阪府の私立高校補助金について生徒一人当たり最大で6.7倍の格差があることが9日昨日の府議会で担当部長の生活文化部長の議員に対する答弁で明らかになったということである。
・ これに対して知事は「非常に問題だ。」更に知事は「正直非常に問題だ。経常費は私学経営の救済資金になっている感もあるのでこの差について考えないといけない」と答弁したとある。更に8月以降「公立と私立のあり方についても徹底的に議論したい」とも述べている。
・ 話しと言うのはこうだ。学校ごとに生徒児童一人当たりの配分額を算出したところ、学校間で大きな差異があり、高校で言えば最高69万円7500円戴いている学校もあれば最低10万9592円しか出ていないところがあるということである。
・ 中学は最高71万9000円、最低13万7376円で高校で6.4倍、中学で5.2倍だ。浪速は最高でもなければ最低でもない。しかし従来から算定計算が難しくてというよりややこしくて「算定根拠」が最後のところは分からなかったのも事実だ。
・ まさか府庁にお気に入りの学校に手厚く、逆らう私学には少なくなどということはありえないが、今までが「護送船団方式」で私学「経営」に主眼を置いて配分していたら、これは「大きな問題」と知事は指摘しているのである。「良い勘」をしている。
・ 努力してお金を使い、エネルギーを投じて生徒を集めたが、「生徒の多い学校は助成金を減らしましょう」ではどうしようもない。理事者や教職員の人件費ばかり高くて結果として助成金が人件費に流れていても、経営が苦しいところには助成を増やしましょうでは「真面目にやる気」などしない。
・ それが知事の指摘「結果として経常費が私学経営の救済資金になっている」との懸念だが、大筋間違いはあるまい。少なくとも「生徒一人当たりの助成額は同じでなければ公平ではない」筈だ。
・ これに対して大阪府私学課は「運用状況や教育条件に応じて傾斜をつけた基準で算定している。又図書、パソコンなどの教材購入に多くを充当したり、福祉科などの特色学科を配置している学校に上乗せ配分している」と答弁しているが、我々には分からない。
・ いずれにしても私学助成問題については「本丸」に近づいて来た感じがする。わかり易く言えば「頑張っている学校には配慮しましょう。そうでないところには今までと同じように手厚くとはいけませんよ」と宣言されたようなものだと私は受け止めている。
・ 護送船団方式からの脱却だ。「優勝劣敗に私学生き残り戦争」が本格的に始まったということだ。今まで公立と私立の「公私間格差」ばかり言ってきた私学連盟は反撃を受け「私学間格差を見直しますよ」と通告を受けたようなものだ。敵はさるものである。
・ 私学が大阪に100校も要るのかと問われているのだ。「大阪府立高校はこの10年で30校近く消えていった」。再編整備の名の元に消滅していったのである。この間私立学校で消えて言った学校があるかと問われ始めたのである。
・ 当たり前だ。私学が多すぎる。個人的には20%くらい無くなっても良いくらいだ。苦しい私立は「大学との連繋を模索」しながら生き延びようともがきながら延命するので「一向に学校数が減らない」。それが今の大学グループ入りの背景だ。
・ 私立学校は一体どうなるのか。その前に公立学校はどうなるのか。本当に市町村都道府県単位で「学校を自治体が保持」できるのかまで議論が深まらなければならない。破綻した自治体の児童生徒の教育費と東京みたいなお金持ちの自治体の子どもの教育費に差があることはますます拡大するかもしれない。
・ そういう中で私学と公立との差異が論じられる。公立学校は「公設民営」に移行していくのか。あるいは助成など頼りにしないで「独立独歩」で生きていける私立学校を目指すのか、ますます難しい判断と舵取りが求められるようになる。
・ いずれにしても浪速は「しっかりとやるべきことをやる」。「良い教育をする」そして納税者たる府民の方々の信頼に応え、「浪速なら助成をしてやるべし」と言われるようにならなければならない。
・ 今日の新聞記事は最近では最も「ズキッ」とくる記事内容であった。難しい時代に理事長になったものだ。新校舎は建設しなければならない、助成金は欲しい、生徒は集めなければならない、大学との関係をどうするか、休んでいるあの先生はその後どうなっているか、自分の腰はどうか、様々な課題があるが、「仕事はあって何ぼの世界」だ。トップは元気でなければならない。組織をまとめる要諦だ。