2008年8月22日金曜日

8月22日(金)調査書改ざん事件

・ 9月になれば「指定校推薦の作業」が始まる。進路指導部長によれば大体資料の整理は出来てきているとのこと。少子化の中で「大学側は生き残りをかけて学生募集」に必死であり、指定校の枠を戴いている大学数はA3版用紙で8枚になるというから凄い数だ。昨年に比べて今年も大幅に増えてきた。
・ 大学進学には今やさまざまな進学方法があり、今日でも正統派はやはり「一般入試」である。そして「大学入試センター試験利用」というのがあり次に「指定校推薦入学」がくる。指定校推薦は「入学試験は受けず3年間の高校学業成績他で判断」される進学方法だ。
・ 多くの大学から指定校を受けている高校は「良い学校」と言えるが必ずしも喜んでばかりいられないというのが実態だ。それは大学生としての「基礎基本の学力レベル」が問われ始めてきているからである。
・ 「AO入試」などは一部の大学で「制度の見直し」が始まったことは本ブログでも触れている。それくらい高校生の学力が世の不安になってきているのかも知れない。受験勉強など一切せず、高校3年生の「9月にはもう半年後の大学が決まる」のであり、そういう進路方法を望んでいる生徒にはこれほど「有り難い話」はない。
・ 人間80年の人生で恐らく高校3年生の3年間で大学受験ほど勉強する機会はない。この苦労や辛さは必ず血となり肉となっているのだが、文武両道で部活動に時間を費やし、一般入試を敬遠したい生徒にとっては「垂涎の制度」である。
・ 元々の発想は大学の特徴と希望する人間像と進学希望する生徒の「マッチング」があれば「貴方の高校には3名上げます。高校を信用しますから生徒を寄越してください、引き受けますよ。」というのが趣旨だ。しかし高校側では大学側の条件と生徒の希望とが必ずしも一致しないから色々と問題が出てくる。
・ 例えばA大学から指定校推薦枠で1名を戴いているが、希望者が5名居たりすると「誰を推薦するか」がポイントになってくるのである。この大学がいわゆるブランド大学だったりすると希望者は跳ね上がる。倍率が高くなるのである。大学入試の倍率よりは同じ高校内の推薦を貰う倍率の方が厳しくなるのである。
・ 担任や部活動の顧問はどうしても自分のクラスや部員の生徒が可愛いから何とか推薦枠に押し込めたいと思うが、どの先生も同じことであり、これらの最終意思決定プロセスを「公正公明」にしなければ「学校は崩壊」する。絶対にこの分野では「情実や不正は許されない」のである。
・ 教員という職業人間は少なくとも最後の「教員の良心」としてこの面に関する不正行為はない。それは他の教師の思いも分かっているからである。無理しても「何時かはその報い」が来ることを知っているからだと私は見ている。
・ ところが、そういう文化を打ち壊すこともあるらしい。今朝の読売新聞は「調査書改ざん指示容疑」で静岡県警は県立高校の前校長を聴取とある。大学推薦入試に提出した「調査書の評定のかさ上げ」が行われた疑いがあるという「内部告発」である。
・ どこかで聞いたような話だ。大分県の教員採用試験で点数をかさ上げした行為と同じことが高校生を対象にして行われていたというもので、今回はお金や商品券などが動く贈収賄事件とは記事にはなっていない。従って公文書偽造なのだろう。
・ 「調査書」というのは高校生の高校生活の言ってみれば全ての記録が書かれているもので教科科目の成績評定、取得単位数、評定平均値、成績グループ、出欠の記録、部活動他人物に関する全てが記載された最重要な書類で「学校長の公印と記載した担任の判」が押印されているものである。これを大学に提出する。極めて極めて「重要な書類」である。大体全国の高校で同じようなフォームである。
・ 情報を寄せられた県教委によれば前校長は2006年度推薦基準に達していなかった評定平均値3.1の生徒について教諭に働きかけ19科目で基準の3.5にかさ上げさせたとある。
・ また基準を満たしていた評定平均値4.2の生徒について合格が確実になるよう3科目を改ざんさせ4.3に持ち上げ、二人の生徒は見事に(?)出願先の大学に合格したという。
・ しかし公立というところは恐ろしいところだ。校長は3月に定年退職、待ってましたとばかりに4月県教委に「内部通報」があり、調査の結果、前校長は否定したが4人の教諭が改ざんを認めたという。
・ 4教諭は減給の懲戒処分とし校長は県警に「虚偽公文書作成・同行使容疑」で告発しこのたび事情聴取になったものだ。前校長は「何とかしよう」「頑張ろう」と言ったが改ざんは指示したことは無いと読売の取材に答えているというが、果たして・・・・。
・ この学校は静岡県立天竜林業高校で浜松市にあるが、私はことの経緯を以下のように想像する。林業の高校だけに校長は「大学進学実績」を上げるべく頑張っていたに違いない。今のままでは「折角頂いた推薦枠の大学に生徒を送り込めなくなり、来年度以降にも影響が出かねない」と心配したのだ。後少し評点があれば「行かせるのに」と思ったことだろう。それを担任や教務部長や進路指導部長に「何とかならないか」と恐らく言ったのかもしれない。
・ しかしこれは「良くない」。校長のやることは「データの改ざん指示」ではなくて自ら大学に出かけ、「何とかこれで通して欲しい、将来絶対伸びる生徒だ」とか働きかけることである。私ならそうする。今回は働きかけ先が大学ではなくて教諭であるが、ここが良くない。
・ 内部告発者はこの学校の者であることは間違いない。外部の人間には伺い知れない話しである。今回告発した人間は改ざんし、幇助した人間が罪の意識で告発したとは考えられないから、恐らく人間関係に伴う問題からそれ以外の教諭が告発したのか、よくは分からないが、こういう面を学校の教員は有している。それもすべて「覆面告発」である。
・ 「本校は絶対に改ざんなどしないし、させない。推薦決定プロセスは公明正大」だ。明日か来週月曜日に指定校推薦大学を掲示板に張り出すことになる。3年生は恐らく固唾を呑んで待っているに違いない。遂に夏休みが終わり、受験シーズンとなってきた。まだ残暑がきつく夏なのであるが高校3年生にはもうラストスパートに入ってきたのである。「舟木和夫のヒット曲 高校3年生」を思い出す。こう言っても若い先生は「?、何のこと?」くらいだろうが。「赤い^夕日が校舎を染め~て・・・」と歌詞は始まる。日の出ではなくて落日なのである。