2008年10月5日日曜日

10月5日(日)汚物撒き散らし教員

・ ある面、「教員の習性」を表わしている事件と言ったら大多数の立派な先生方から、お叱りを受けそうだが、横浜である事件が起きた。「笑うに笑えない事件だ」。「横浜教員汚物撒き散らし事件」とでも言っておこう。
  横浜市教育委員会は10月2日前任校の校長の自宅に犬や猫、人の汚物を投げ入れるなどの嫌がらせをしたとして市立小学校の女性教諭(51歳)を同日付けで停職3ヶ月の懲戒処分にしたと発表した。大阪日日が3日の朝刊記事にしている。
・ 教諭はその日のうちに依願退職した。市教委によると、この教諭は「両親の介護のため担任を外して欲しい」と校長に希望していたが「聞き入れて貰えず不満があった」と話しているという。この女性先生は昨年12月から今年9月まで数十回にわたってこの校長の自宅の庭や玄関に介護していた「自分の親の汚物や犬、猫の糞」を投げ入れ、車に「死ね」とまで落書きしたことがあったという。
・ 「恐ろしい話だ。」しかし私には経験があるからこの種の話し、「大変良く分かる。」「恨み骨髄」とはこのことだろう。やられた校長も大変だったと思う。「同情を禁じえない」。しかし「自分の親の汚物を上司たる校長の家に撒くか?
・ 今後気の毒なことは世論がこの校長に対して「あそこまでやるなら担任外してあげたらね」とか「あそこまでやると言うのは他にも恨みがあったに違いない」と要らぬ想像をして騒ぎ立てることだ。これが校長にはダブルパンチとなる。被害者が加害者になるのだ。ふざけた話だ。
・ 加えて教育委員会は「現場の騒動や混乱」を嫌うから、「もう少し、上手くやってくれたら良いのに」と少なくとも高い評価を与えないのが普通の教育委員会公務員の感覚だ。校長は「冗談じゃない」と言いたいところだろう。
・ 「私は想像する」。この「汚物撒き教員」は「わがままで、無体で協調性のない自分のことしか考えない、常日頃から好き勝手する教員だった」と想像したらどうだろう。少子高齢化社会になり、どの教員も介護の必要な親は有している時代となった。
・ だから「介護保険制度やヘルパー制度、グリーンホーム制度」など国の社会資本は不十分ながらもこの10年進めてきている。「給料の高い教職」だ。介護ヘルパーを雇うとか色々な方法はあろうに。
・ そうすれば担任をしながらでも面倒は看れると思う。学校に居ると言っても朝は8時から夜は6時、7時くらいまでだろう。まだまだ時間があるではないか。それにあるのか無いのか知らないが「副担任」もいるのではないか。親の介護で担任を外せと言うのはいささか無理がある。
・ 今年の3月、本校である教諭が退職した。二人の幼児を抱え、母親が倒れたと言う。「子どもの側に居てやりたい、親には最後の孝行をしたい、休めば他の人に迷惑をかける」「色々考えたが、断腸の思いで退職する」と来られた。
・ お話をお聞きする中で、涙を流され、思わず私ももらい泣きだ。本当に明るくて良い先生だった。惜しかったが仕方がなかった。その前には3ヶ月間の休職まで配慮したが、「覚悟を決めた」のであろう。立派な引き際だ。私は言ってあげた。「何時でも帰っておいで。非常勤であれば仕事はあるよ」と。
・ もう一つ言えば、財政問題から「産休代替」とか無い限り教育委員会は非常勤の先生など手配してくれない。公立学校は全てが教育委員会の権限業務だから校長が幾ら頼んでも「はい分かった。教員を回します」とは言わなかった可能性が高い。「基準以上の加配」になるからそれは法令との調整も必要となる。文科省に見つかると大変なことになる。
・ いずれにしてもこの女教師は頭に来て「汚物を撒き散らした」のである。いずれにしても「酷い教師」がいたものだ。しかし驚いてはいけない。これが教師と言う職業を背負っている人間の中でほんの一部ではあるが典型的な「ぶち切れの様相」と私は論じる。
・ しかしそれほど「担任」というのは「困る仕事」か。小学校の先生だから「モンスターペアレンツ」の比率は相当高い?生徒は言うことを聞かず、その親も無理難題を言い、親の介護もあり、もう何が何やらサッパリ分からなくなって「汚物を撒いた」のか。それくらい担任というのは辛い仕事なのか。そこが問題である。
・ 学校担任というのは極めて重要な職位である面、「校長以上に影響力は大きい」職位である。毎日生徒と接し、その保護者と連絡を取り、学力、操行、健康、家庭状況様々な情報が飛び交う中で「適切に対処」することが求められる。「上手く行って当たり前」の世界で、失敗すればまず「担任が責められる」職位であるといっても過言ではない。
・ しかしそれだけに「やりがい」のある仕事だ。「担任を繰り返して教師は成長し鍛えられる」と確信している。私は「担任という職位に敬意」を払っている。従って「担任をしてくれている先生」には「特別な思い」を有している。「担任から逃げる奴などを私は許せない」のだ。
・ 今日も朝一番、1人の常勤講師であるが学級担任が他の用事で入室してきた時に「生徒が可愛いからと言って単なるお母さん担任」ではダメですよ。「あなたの教師としての教育観」が問われていますと言って指導したのである。
・ この若い先生はことあるたびに「生徒が可愛い、可愛い!」、「浪速が大好き!今が一番幸せ!」という先生だ。この思いは大切にしてやりたいし私としても大変嬉しい。この先生の将来を期待しているだけに私は指導をするのである。今いる「若い教師が私はいとおしい」。時に厳しく、愛情を持って育てていきたい。
・ どうも私は若い人に甘いらしい。時にベテラン教師からこのことを言われる。「校長が若い先生と話している顔は優しいですよ。我々のときと全然違う」と言われるのだ。そうかもしれない。しかしだ。20台の卵のような先生と40台、50台のベテラン教師と同じようには行くまい。「当たり前」だ。今まで得た生涯収入を計算せよと言いたい。