2008年10月7日火曜日

10月7日(火)地方分権の足音

・ アメリカのサブプライムローン問題に端を発した景気動向は世界に広がってきた感じだ。名門証券会社リーマンが破綻し米国政府は75兆円もの公的資金を投入して不良債権を買い取り、金融の秩序回復を狙う。日本のバブル崩壊なんか比較にならない規模の大きさだ。
・ あの強気のロシアがグルジア侵攻以後少し態度が変わりつつあるのか。外国資本が国外に逃げ、国内株価が下がり始めている。日本も含め「世界同時株安の傾向」だ。遂に今日の日経平均も一時期10000円を割った。「アメリカ一国集中が変質」しつつある。為替レートも100円台になってきた。世界はおかしくなってきた。
・ 現代社会はもう「一国単独の論理が通らなくなっている」ということだ。「1人だけ良い子をして得をしよう」なんて不可能になってきているのである。それくらい世界は混み入ってきている。政府が掛け声をかけても経済の分野は微に細に入り組んで、もはやこの糸は簡単には解けないような気がする。
・ 日本も何かおかしい。完全に空気がおかしい。自民党と民主党は衆議院の解散を睨んで攻防がますます激しさを増しているが、「中央の力が完全に落ちつつ」ある感じだ。「中央はもはや機能していない」。本格的な「地方分権の時代」が来つつあることを実感する。そうでないと最早日本もやっていけなくなってきている自然の摂理かも知れない。
・ 地方分権の時代とはどういうものか。私流に表現すれば「起承転結が極めて明快」「金の流れが明快」「処理のスピードが極めて早い」「首長の能力姿勢が敏感に反映」される等々だ。要は税金の使い道が明確に分かると言うことだろう。アホな都道府県知事を戴いたら都道府県民の不幸だ。
・ その代わり住民にとっては「自治体格差」がより強くなってくるということだ。行政サービスが自治体で変わってくることだ。これは厳しい話でそのうち「地方単独の税システム」の議論が出てくるのは目に見えている。東京の石原都知事はトラックの排ガス税というのを導入した。間違いなく橋下知事は新しい府税の徴収を考えている筈だ。彼は最近「地方分権、地方分権」とばかり発言している。
・ 「地方分権」の裏腹は「自治体が口を挟んでくる」ということである。「要は金も出すが口も出す」という構図である。早速そのような動きが出てきている。大阪府の三つの指定出資法人が直接雇用するプロパー職員について府は「給料を下げなさい」と求めたとある。
・ 大阪府が8月から府の職員の給料を削減したことに伴う「要請」とあるが一部の出資法人側は「法的根拠がないと拒絶」したそうだ。私はこの動きに今注目している。大阪府は出資法人36法人のうち、27法人は「府の給与水準に準拠するよう言うことを聞く殊勝な態度」らしいが、他の6法人が拒否しているという。
・ 橋下知事は「全国学力調査を非開示とする市町村へは補助金を削減すると明言」しており、本当にやるだろう。私学へも同じような動きが出てくると考えた方が良い。私の恐れる点はそこだ。
・ 元々「私学嫌い」に見える知事だ。私学助成金を10%削減したと言っても公的資金が入っていることには違いがない。「だったら言うことを聞け」となったら大変だ。この辺の「理論武装」をしておかねばならない。「本校においては私はすでにその準備は出来ている」。しかし私学全体としてはどうだろうか。
・ 橋下知事も「私学の付加価値」と言う点は分かっており、彼が問題とするのは「人件費」だ。「私学助成金が教職員の給料に消え、理事の北新地での豪遊」に消えているとしたらそれは問題だと言っているのである。「生徒への還元」であればそれで良いと言っている。
・ 例えば出資法人で拒否した3つの法人のうち、「府中小企業信用保証協会のプロパー職員の平均年齢は43.3歳で平均年収が732万円、泉北高速鉄道を運営する府都市開発が40.4歳で711万円、大阪モノレールを運営している大阪高速都市鉄道が32.8歳で651万円」というから、いずれも高い。知事からすれば補助金を受け取っておいて給料が府の職員より高いのは腹が立つ」ということだろう。
・ しかしプロパー職員にまで知事の権限が及ぶのか。「経営権の独立」など無いではないか。「私学も公立の教員と給料は同じにすべき」と恐らく腹の中では思っており、今後その点を突いてくることは間違いない。現に賞与一時金を多く出している一部の私学は「ちくちく」やられているらしい。
・ 知り合いの理事長は「6ヶ月をとりあえず5ヶ月にしたい」と言っていた。いずれにしても私学教員の給料が今までと違って「白日の下に晒される」時代が来つつあるということだ。この点に関しては私学経営者にとって悪い話ではない。
・ 私は先行して「是正」を図って来た。現時点で言える事は「公立の教職員に比べて同じレベル」と断言できる。即ち「木村改革後」と「橋下改革後」での「教員給与の比較を徹底的に行ってデータを得ている」。本校は私学だから開示はしないが市立中学校の教員は公務員で条例給料だから明らかに出来る。
・ 大体大阪市立中学校の37歳で独身、扶養家族なしで年収規模は橋下改革後で大体700万円を下回るとみて間違いない。37歳で700万円は安いか高いかの議論だろうが、コメントしない。知事や教育長でもあるまいし、よそ様のことだ。
・ 先のブログにも書いたが10月8日号の週間プレジデント100職種推定年収ランキングによれば「高校の教員は44.4歳の公立教員が768万円、43.9歳の私立教員が736万円」とあるから前述の数値はあながち的外れではない。
・ 「少なくとも浪速の教員は給料が高いから私学助成金は削減する」と言われることはないと思っているがまだまだ良く分からない点があることも事実である。大体本給部分と調整手当部分はピタッと一致しても公立には地域手当とか特別手当とか訳の分からないものがあり簡単に私学とは一致しない面がる。
・ 私は本校の教職員が「誇りを持って、生活の不安をなくし、教育活動に邁進」出来るように「給与処遇は考えていく」が、それは「頑張ってくれている教員」に当てはまる話で「出来る人間の後ろに隠れてこそこそしている」教員には今後とも評価育成システムで「処遇にめりはり」をつける積りである。「絶対にやる。これが私の仕事だ」。