2008年11月6日木曜日

11月6日(木)その1:財務諸表の公開

・ 一体あの学校は「生徒数が少なくなって危ないのではないか」と噂されたり、そういうところに「子どもを行かせて大丈夫なのか」などの不安の声は当然保護者にあってしかるべきである。進学実績ばかりに目が行っては危険である。
・ あの学校の「教職員の人件費比率」は「帰属収入」に対して一体どうなっているのか、「教育環境整備に金を使わず教員の給料に消えているのではないか」などの声が聞こえてくるとややこしい。
・ 特に橋下改革の影響で公立教員が10%給与削減され私学も助成金が大きくカットされてきている現在、「学校財務情報」はますます学校経営の実態把握にとって重要である。
・ あの学校の財政状態はどうなんだろうと言う「疑問に答える」のは助成金と言う公金が入っている「私立学校としては当然の責務」だとも考えることが出来る。又教育活動以外に学校法人が「収益事業」として例えばリゾートホテルを経営したりするために「銀行借り入れ」をしているとか、「放漫経営」を理事長がしているとか「監視機能」が求められるのも世の流れだと思う。
・ 学校法人の経営にはその本分である教育研究活動を世に問うことが第一でその具現化のためには「学校法人の財務基盤の維持」が課されており、特に「学校法人会計基準」に従って適切に会計処理をしなければならない。
・ このような流れを受けて平成16年「私立学校法の大改正」が行われ平成17年4月1日から施行された。時期を合わせて学校法人会計基準も比較的大きな改正が行われたのである。
・ 特に大きな部分は「財務諸表の供覧義務」である。この意味は「在学する者その他の利害関係人」の請求があった場合の「情報公開義務」である。しかしながら実態としてはまだまだ積極的に開示している状況ではないことも事実である。例えば大阪府の私学で言えば開示しているところはない。
・ かろうじて学校法人四条畷学園がホームページ上に以下のように書いている。「本学園では私学法第47条の規定に基づき、本学園に在学する20才以上の学生の方、及び本学園全在学生の保護者の方に「財務諸表の公開」を行っています。公開している具体的なデータ、その他お手続き等につきましてのご照会は四条畷学園法人事務局までお電話を下さい」というものだ。誠意を感じる。
・ しかしなんと言っても優等生は東京の「品川女子学院」だ。ここは文科省からも高く評価されている女子の中高一貫校であるがとにかく「凄い」の一語だ。お時間のある方はこの学校のホームページを参照されると良い。ここまでやるとは感動に近いものを私は感じる。素晴らしいホームページだ。
・ ということで品川女子学院とまでは行かないが「本法人もホームページ上に財務情報を開示」することにした。本日からアップしている。開示している内容は「資金収支計算書」「消費収支計算書」「貸借対照表」である。更に私立学校法の規定から「財産目録」を作成して事務所に備えなければならないとされている。
・ 資金収支計算の目的は当該年度の全ての収入及び支出の内容と「支払い資金の収入支出の顛末」を明らかにするものである。消費収支は「均衡の状態」を明らかにするものである。
・ 貸借対照表は法人の資産、負債、基本金、消費収支差額を明示している表で言ってみればまとめの表と言える。ポイントは「消費収支の差額が赤か黒か」であり赤であれば赤字決算でそれが続くと累損となる。
・ 平成19年度の本校の財務諸表を御覧いただければ平成19年度の本校の「学校改革の足跡」が実に明瞭に把握できる。これが素晴らしい。「数値で裏づけ」されている。18年度まで続いていた赤字は遂に支出超過が解消されて単年度収入超過となり繰越消費支出超過(累損)が減少に転じた。時間がかかるかも知れないがそのうちに「累損を一掃」する。画は書けている。
・ 収入の増は学生生徒等納付金の影響で平成18年度の1250名から平成19年度は1497名に増え、1億2434万円の増加で如何に私学にとって「生徒数の増が経営に大きく影響する」かが分かってきます。
・ また19年度の収入のうち、資産売却収入は和泉市上代の学校用地を売却したものでこれも19年度の大きな特徴であった。肝心の人件費は本校教職員、常勤、非常勤、役員の総額で9億4640万円となり帰属収入に占める人件費割合は64.9%と完全な「健康体」を取り戻している。「分母を増やし(生徒増)、分子を減らした」のですから当然です。
・ 18年度のそれが83.5%でしたから「如何に学校が変わったか」を証明するもので今このエネルギーが「新校舎建設」へと向かっている。この数値がここまで好転というか常識的なレベルになったおかげで保護者に対して「授業料の値上げ」をお願いできることになったと思っている。
・ 私立学校を巡る環境は毎日動いている。海の向こうのアメリカでは46歳と言う若きリーダーが誕生しました。「Yes, We Can」を合言葉にキーワードは「変革」です。「Change We need 」とオバマは叫んで大統領になります。
・ 今回の財務諸表の本格的開示は大阪府下の私学では先鞭であり画期的なことと信じて踏み切りましたが「ええカッコ」ではなくて、「改革を後戻りさせない」為の枕木、ストッパーの役目とも考えている。
・ 今本校の教職員にとって大切なことは21世紀に生き延びるための施策としてハード的には「新校舎」、ソフト的には「進学実績の向上と関西大学との特別連携」である。
・ 教職員に伝えたい。目の前にとらわれることなく先を見よ。そして「自己の職場を守れ」と私は言いたいのである。「雇用不安」に陥るような学校にしてはならない。頑張ってくれている若い世代の教職員が安心して働ける職場にしていかねばならない。それが私の仕事だ。「給料が下がった、下がった」と歎きだけの人は意識を変えて欲しい。