2008年11月7日金曜日

11月7日(金)関西大学学長

・ しかし今朝は久しぶりに「気持ちの良い記事に遭遇」する。初めではないか。「大学の学長が大阪府の私学助成削減を批判」とある。11月7日大阪市大、府立大、関西大の3大学が「包括連携協定」を結びその調印式が市内であった。
・ その席で「食の大学院構想」や「大学説明会の共同開催」などが話し合われたとあるが、「関西大学の河田悌一学長」は異例の行政批判を展開したと産経の記事にある。批判ではあるまい。しかし「良くぞ言って頂いた」と私はとても嬉しい。
・ 河田先生は調印後の会見の途中で「この場を借りて言わせて欲しいことがある」と切り出し、「府や市に応援する姿勢がないと大阪の教育地盤沈下は止まらない」と延べ、先の私立中学高校の補助金削減に言及されたのだ。
・ 「大阪の教育研究にもっと物心両面の支援が必要」とも述べられた。本当に良く言って頂いた。私が知る限り「大学人が始めて大阪府の私学助成削減に言及」された。極めて立派である。
・ 大体もっともっと「大学人」は中学、高校教育の「陰に潜むもの」について「意見を発信して欲しい。」河田先生は系列に中学高校を抱えておられるから「感度」が高いのだろうと思う。
・ 高校教育界が一生懸命に育てて「大学に送り込む」のだ。学力の低い学生が入ってきて大学は大変だとか歎く前に、このように立場ある大学人が「行政に物申す姿勢」こそ我々を勇気付ける。
・ 河田学長は確か市大の初代学長であった河田嗣郎先生のお孫さんで学者一家のお育ちであり、有名な文学者である。着る物、ネクタイ、語り口などダンディでスマートであるが今回の一件で「気骨のある泰斗、碩学」ということを世の中に見せられた。私は「尊敬」する。

・ 小さな記事であり、大手新聞はどこも書いていない。昨年もそうだった。大阪日日が報じているのだが来春の高校進学者数の「公私間比率」が決定された。1昨日「府公私高等学校連絡協議会」なるものが開かれて来年も「7対3」に決まったとある。
・ 私学協会からの正式連絡も本日あった。私は「ほっと」している。もしこの数値が変われば「直接的影響」を受けるのであって、変わらないとなれば大体過去の統計データから読めるからである。完全に「規制に助けられている」のだ。7-3規制が緩和されれば私学間と公立は生徒募集で「死闘状態」に入る。恐ろしいことだ。
・ 30%の中学3年生を私立高校約100校が奪い合う公算になる。来年の中学卒業生が70800人と見込まれ、66480人が高校進学を希望する。そのうち他府県の高校に進学する生徒数を2900人と読んでいるがこれは灘校とか東大寺学園とかの超進学校であろう。
・ 残った数を公立高校と私立高校で分けるのだが「私立の取り分(?)は19100人」と言うから1校当たりに直すと200人前後である。1学年200人ではやってはいけないが計算上ではこうなる。昨年本校は「木村現象」で620名を超えた。平均計算値の3倍であったが来年はそこまではいかないと想像している。
・ ちなみに府下の私立高校の94校のうち、本年5月1日現在の在籍者数の多いところから並べてみると以下のようになる。単位は人。
   近大付属3144、清風2166、大阪桐蔭2025、常翔学園1877
   産大付属1860、桃山学院1791、上宮1585、大阪学芸1581、
   関西大倉1576、「浪速1538」と10番目にくる。
・ 本校はベスト10にギリギリで入っているが、以下11位は四天王寺1491、興国1418、関大第一1383、大阪学院1335と肉薄して続いている。しかし「大学を有している法人は強い」。
・ 「 独立系」では清風、上宮、興国、それに本校だ。完全に「私立高校は大学との系列化」が進んでいる。京都府でも大学との関係がない私立高校はもはや2校しかない。大阪も少なくなってきた。本校は「関西大学と特別な関係になるべく協議中」である。今後果たしてどのような数値になるのか。
・ 以上は高校3年間分であるから高校1年生の在籍者数で比較すれば「直近の勢い」は分かる。
  常翔学園655、産大付属583、「浪速570」、桃山学院556、
  大阪学院527、近大付属525、興国522、大阪高校498
  大阪学芸429、商大堺416がベスト10である。「本校は堂々のベスト3位」。本校と「興国」は頑張っている。特に興国は独立系であるが立派な経営者と教職員に恵まれ「強い」。エールを送りたい。
・ しかし面白いデータがある。上記学校の生徒数ランクと「賞与支給月数」と完全に相関があるのである。データのあるところだけで言えば例えば清風などはトップレベルの支給だ。「2000名を超えたら賞与を多く出せる」ということか。然らば本校はあと500名増やさねばならない。
・ しかし問題は「教室数」だ。しかし本質的には「良い教育を展開する」ことである。「急がば回れ」ということだ。建物はすぐ立つが「学校の信頼」はそう簡単には得られない。しかし私は自信がある。
・ それは「教職員が頑張ってくれている」からだ。凄い頑張りである。勿論一人ひとり能力や実績に差はあるが全員がベクトルをあわせて目の色を変えて頑張ってくれている限りまだまだ「浪速の評価」は上がる。間違いない。
・ 本日午後、なんと大阪市と京都市の教員採用の2次試験が受かった常勤講師の先生がそちらを辞退して「本校で働きたい」と私に申し出て来たのである。「浪速が面白い」というのだ。
・ 私は「本当にそれで良いのか」「じっくり考えなさい」と言うも、「是非、お願いします」というので申し出を了とした。極めて嬉しい。26歳、間違いなく将来の浪速を背負ってくれる人材である。大事に育てていかねばならない。
・ 先には現役の大阪市の教員が市の教育公務員の職を辞して本校に来てくれた。「今何かが変わりつつある」。私はこのように本校を選択してくれた「若い人たちの将来の為」にも頑張らねばならないのだ。ごちゃごちゃ言っている暇はない。「匍匐前進」あるのみ。ところで若い先生方、匍匐前進って分りますか?「突撃」ではない、匍匐前進というところに意味がある。