2008年11月28日金曜日

11月28日(金)授業料値上げその2

・ しかし今回のことで私は大変気になることがある。それは橋下知事が府教委に次のように指示を出したことだ。このブログでも何回も言及しているが「大阪府の場合、公立私立の割合は昔から7:3」で来ている。知事は「この数値を見直せ」と言ったと言う。
・ 大阪日日が取り上げている。この記者は相当学校のことに詳しい記者だと思う。単に授業料がこれだけ上がって大変だなどの記事だけではなくて「本質の問題」に言及した知事の発言を捉えているのである。
・ 同日行われた来年度の予算編成に伴う「知事ヒヤリング」で「府公私立高等学校連絡協議会」が決定する公立私立の受け入れ比率ありきではなくて、公立高校進学希望者は「受け入れる」体制づくりの検討を指示したとある。
・ 知事は「七、三は経営者同士のキャパシティの割り振りで子どもたちには関係ない」と批判したという。更に「授業料の関係で公立しか行けない人のため公立のキャパシティを広げるよう検討していただきたい」と述べたという。
・ これはもう「やけくそに近い発言」と思わざるを得ない。もしこれをやったら「しんどい私学は間違いなくつぶれることになる」「子どもの学ぶ権利の侵害」となって「訴訟に発展する可能性」がある。泥沼の戦争となるであろう。
・ 昨夜の夜8時45分からのNHKテレビはここだけであったがキャスターがこの問題に言及し、「場合によっては学級の人数を45人とか50人とかにして受け入れることも含めて」とかなんとか言っていたが「トンでもない話だ」。
・ どうも「知事は追い込まれ」てきている。それは世界的な金融危機で近畿の景気も落ち込み、パナソニックが下方修正するくらいだから、「府税収入」は7月の正規予算設定時に比べ当初見込みから1000億円以上落ち込む可能性があるという。
・ 橋下改革で1000億円の合理化を図ったが景気の動向でその数値は「吹っ飛んだ」格好になり21年度予算を現在検討中であるが「財政規律」を守るとすると財源が全くなく「ニッチもサッチも行かない状態」である。
・ 知事は「やけくそ発言」みたいだが「いっそ財政再建団体になった方が簡単によみがえる」とまで言ったそうな。終了後の記者会見では「素直に思いを言っただけで再建団体にしますというわけではない。」と述べている。少し知事は疲れている。
・ 読売新聞は来年度予算で「安全網充実を求める」「私学助成カット見直しも」とあるが本質に迫った私学助成議論が必要である。現状前提で七三比率を変えることには絶対反対である。そうするのであれば「公私の公金助成を均等」にするべきである。それは公立私立の区分がなくなるということである。即ち「公設民営・民設公営」という究極の姿が見えてくる。
・ 今回の新聞記事で分かったことは「学校間で大きな考え方の差」があるということであった。今回値上げに踏み切ったのは84校中、高校で50校、中学校で34校である。これは前年度比で高校が28校の増、中学で20校の増加である。特に高校では1993年度の51校が同時に値上げしたときに匹敵する数値である。
・ 中に10万円以上値上げしているのは7校とわざわざ書いている。授業料と納付金を合わせた初年度の最高額は前年度と同じで千里国際学園の120万円、最低額は金剛学園で高校596000円、中学校292000円となる。
・ 本校は約6万円の値上げをお願いしてこの結果、ようやく「府内私学平均値」となった。昨年までは近隣の比較で実に平均以下25番目であったが21年度は38校中15位となる。中学も19位が15位である。突出した状態ではない。高校、中学とも平均値になるよう設定したのが当たったということである。昨日の職員会議で私は「良い位置につけた」と表現した。
・ それにしても今回驚くのは早稲田摂陵で16万円の増、初芝立命館が14万円の増である。お隣さんの初芝は今まで本校と並びであったが完全に差がついた。「学校の中身ではない授業料の高さ」である。しかし何で「大学のグループ入り」するとここまで「強気になれるのか」ということだ。
・ 今回相当私は悩んだが値上げ幅は私が事務局案を差し戻して最終決定した。結果として高校が58万円、中学が60万円となった。約6万円の値上げである。これで近隣では桃山さんと高校ではぴったりと並んだ。中学では桃山が62万円で本校が60万円だから少し差があるがこれは残念だが今となっては仕方がない。
・ 理事会も授業料値上げには慎重で不安を表明する向きもあったが、慎重に検討してきたことは間違いない。今回40%の高校が値上げをしていないがその理由は「上げたいのはやまやま」だが勇気がなかったということだろう。恐らく他人のやり方を観て1年遅れでやると言うことだろうが、私のスタイルではない。
・ 入試広報も事務室も慎重であった。それを無視して私はぎりぎりまで待って決断した。本当は清風みたいに10万円くらい上げたかったがそれは出来なかった。結局今回のことで分かったのは「自分の決断」しかないということであった。入試広報も事務長も当然であるが従業員で経営者ではなかった。清風の理事長は経営者としての10万円の孤独の決断をされたのであろう。
・ 今回の授業料値上げはまだ余波が続くと思う。我われは値上げさせていただいた分、「浪速教育」に反映して「保護者の負担に仕事のやり方でお返しする」ことが重要だ。必ずご期待に応えていかないといけない。そうしないと「詐欺」になる。
・ 相変わらず意識の変わらない教員がいる。最近二人の教員に注意を促した。「時間休」ばかりとって、一人は「重役出勤」、一人は「3時過ぎにはご帰還」だ。「言語道断」だ。有給と言う考え方を取り違えている。雇用契約とは勤務時間内はしっかりと仕事をしてもらうということで給料を対価でお支払いしている。有給をとってはならないと言っているのではない。ただ極めて常識を外れて頻繁に個人事情で遅出早退のために時間休を導入したのではない。大いにこちらは迷惑を受けている。
・ そういう人は時間講師になってもらいたい。そうすればすべて解決する。大体授業振り替えで迷惑を受けているのは生徒である。高い授業をお願いしており「容易な授業振り替えは許さない」と今日教務部長を呼んで指示したところだ。「プロの教師は授業に穴や振り替えなど頻繁にするものではない。」これは最低限の「教師としてのけじめ」だろう。それが出来ない人は幕の後ろに退場して欲しい。