2008年12月24日水曜日

12月24日(水)新学習指導要領

・ 文部科学省は22日に高校の新しい「学習指導要領案」を公表した。卒業に必要な単位数は74単位に維持はしているが、今回は「相当思い切った改訂」となっている。先に発表された小中の改定よりも更に「突っ込んだ内容」と成っている。
・ 完全に「ゆとり教育」から脱却されることになった。この点では「大歓迎」である。しかし未だにこの路線を導入した当時の文部省の幹部はみのもんたの「朝ズバ」などに出演したりして自分を正当化しているが、本当に「国賊」ものだ。
・ 今回の特徴は「英語授業」と「理数系の充実」がある。しかし私はこういう個別の論点もさりながら大切なことは「改定の基本精神」である。全国の学校の先生方がその気にならないと「絵に書いた餅」となる。
・ 昨年改正された「改正教育基本法」を踏まえて「伝統文化の尊重」「わが国と郷土を愛すること」「公共の精神の尊重」を「学校の教育活動全体で行う」ことが明記された。「道徳教育」については「学校による全体計画作成が義務化」されている。
・ 各紙とも極めて重要なことだから1面を飾り、詳細な解説を記載しているが「英語の授業は英語で」などに視点が行って肝心の部分が希薄に感じる取り扱いは不満だ。産経新聞のみがこれらに触れているのがせめてもの「救い」であった。
・ 朝日などは例によって見出しも内容も「英語教育」に特化した編集で論説記事にも「英語で授業、Really ?」とあるくらいだから全く持って意味が良く分からない。朝日の結論は「指導要領は大枠にとどめて、実際の運用は学校に任せる。それが現場の力を引き出す事につながる」と、ここでも寝とぼけたことを言っている。
・ 「ゆとり教育」もその精神は悪いことではなった。ただ教師が「ゆとり」という言葉を悪用して「自分たちのゆとり」「生徒にはゆるみ」となっていったから現在のような事態になったという解析がこの社にはないみたいだ。
・ 実際の運用を現場の教師に任せるなどは「世迷言の類」で学習指導要領は教育基本法を受けた「最低基準」であり、法的拘束力を有するものでなかればならないと私は思っている。卒業式の国旗掲揚や国歌斉唱などの問題もそうだ。曖昧にするから一部の組合教員に隙を突かれるのだ。「公立の教員は公務員」であることを忘れてはならない。
・ 今回の改正は学習内容を制限する「歯止め規定」条項を削除し、「週30コマ以上の授業が行える」ようになった。要は「授業時数は青天井」になったということだ。又「10分単位の短い特定の教科指導」も「体制と責任」があれば「授業とみなされる」ことも決まった。これなど「朝の読書」に充当できる。私が予想していた通りになった。
・ 「部活動」については大きな前進とは思えないがそれでも「総則」に書かれたことは意義深いと私は評価する。「スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感連帯感の涵養・・・」云々と具体的になった。
・ しかし相変わらず「生徒の自主的、自発的な参加による行われる部活動については・・」と冒頭の文言に記載されている如く「教育課程そのもの」ではなくて「関連が図られるように留意すること」となっている。従って教師の部活動も相変わらず公務ではないと解釈される。
・ 教科別では「社会科」に私個人としては不満が残る。「地歴」では一昨年大問題となった「世界史」が引き続いて「必修」とされたが肝心の「日本史」は今回も必修化が見送られた。残念である。何処の国に「自国の歴史」を「選択科目」にする国があろうか。「自分の生まれた国の歴史を知って初めて世界の歴史が分かる」。
・ 「公民」では始めて「天皇の地位と役割」が明記されたのは1歩前進である。しかしいずれにしても日本史の取り扱いや天皇への微妙な対応は本当に「何故ですか」と言いたくなる。間違った「国家観」を子どもたちに与えかねない。欧州や中国や韓国、北朝鮮などの教科書を見れば良い。
・ 「多聞尚学館」を契機として私は今「青葉茂れる桜井の」の歌にはまっているのだが、殆どの人が知らない。言葉が少し難しいのかも知れない。歌詞の中に「とくとく帰れ、ふるさとへ」というのがあるのだがこの「とくとく」という意味が分からないという知人もいた。「早く、早く」と言う意味だ。こんなことも知らないのかと言ってやったのである。
・ 明治時代の「小学唱歌」であり当時の子どもたちは先生に教わって歌っていた。この歌に「後醍醐天皇」「楠木正成」「建武の中興」「 鎌倉幕府の滅亡」「足利尊氏」「室町幕府」などの中世日本史が凝縮されているということを今や多くの人が知らない。
・ 千早赤阪村の住民でも「知らない人は多いですよ」と副村長が言われていた。「とくとく帰れ、ふるさとへ」の「ふるさととは千早赤阪村の千早城」である。「旧多聞小学校のあった場所」なのである。
・ しかし今回の学習指導要領の改訂の公表を知る前に私は今日を予測し、「神道科の教育と道徳教育」「学校教育方針に奉仕の精神」を先行して検討してきた。「先見の明」を喜びたい。今担当教諭が最終的なまとめに入ってくれている。21年度からスタートする。
・ 今回の改訂はあくまで視点は「公立高校の復権」である。公立がこう出てくるなら「私学はもっと先を走らねばならない」。それが「私学の付加価値」である。全教職員に私は強調しておきたい。
・ 浪速高校の付加価値とは「生徒の面倒を徹底して見る」ことでそのツールや活動の柱に「講習制度」「伊勢修養学舎」「多聞尚学館」「部活動指導」がくる。授業時数などはもうこれ以上拡大できないくらいに教職員は頑張ってくれている。
・ 後は「長期休業中の有効利用」と「週末スペシャル」である。加えて「スポーツ合宿」である。高い料金を使って遠方に出かける必要はない。「多聞を使え」、「他校にも多聞に来て貰え」。夏場は平均気温が20℃というから寒いくらいだ。
・ 「考え方を改めよ」。「保護者負担を極力減らせ」。遠くで合宿したからと言って「強くなるのか」と言いたい。「往復飛行機を使ってリゾート地で合宿したら強くなるのか?」「多聞を使え」。千早赤阪近辺にはまだ多くの競技場が一年中空いている。運動部の顧問に言う。じっくりと千早赤阪を車で廻って欲しい。拠点は「多聞尚学館」である。