2008年12月12日金曜日

12月12日(金)その2:岐阜市長の辞職

・ 朝日ともう一紙が報じていたが「高校問題で岐阜市長が辞職」した。昨日はテレビでも結構大きく取扱っていた。話というのは岐阜市立岐阜商業高校を学校法人立命館に移管し付属高校として開校する計画が「市議会の不同意」を受けて市長がその場で辞職したというものだ。
・ この市長60才で出直し市長選に再出馬し市民に移管問題の是非を問うと表明したそうだ。11日の市議会で「岐阜商の存続」を求める請願が賛成多数で採択されたことをうけての行動であるが、そんなことで辞職するか。税金を使って又選挙をするのもアホらしいではないか。
・ 市長は「古い岐阜が新しい岐阜に生まれ変わる試金石、民意を確認したい」と言っているそうだが立命館に明け渡すことが新しい岐阜の創設ではなかろうにと思う。立命館側から「付属の中高一貫校にしたい」と言ってきて「悪い話ではないと飛びついた」のであろう。
・ 市によればこの学校の維持に年間4億円がかかり存続には校舎の建て替えや耐震化に「今後20億円から30億円必要」とされているらしい。市長は財政負担や少子化でこれ以上の維持はしんどいと思っていたところに立命館が「そーとっ、救いの手を差し伸べてきた」というところだろう。
・ 土地と建物の無償譲渡と貸与し10年度に開校と言うから忙しい話だ。市議会は「教育は市の活性化の道具なのか。有名ブランド校の誘致で市が活性化するとは本末転倒だ。」と反対し、テレビでは生徒が「定員割れしいない学校なのに学校を無くさないで」「立命館など関係ナーイ」と訴えていた。
・ 当然市は用意周到に(?)に11月に市民や在校生向けに説明会を開いてきたが存続を訴えるOBや移管に賛成する自治会の動きを含め、市民を二部した論争に発展しているらしい。
・ 立命館は「市長の辞意は予想外であり誠に驚いている。当面は事態の推移を見守りたい」と型どおりのコメントを出している。面白くなってきた。これは今後の大学戦略に影響してくるかもしれない。
・ とにかく最近の立命館大学は旧私立宇治高校、北海道の私立札幌経済高校を含む中高一貫校を運営している。2年前には滋賀県守山市立女子高校を移管し、ここに中学校を併設して一貫校とした。
・ 最近では私立初芝学園を系列化した。大体このような高等学校を見ていると私なりの観察だが一つの特徴があるかのように思える。
・ 出すのは「立命館の名前」だけである。系列化した中高一貫から、たとえ何名でも京都に来てくれれば良いと思っているだけだ。全員が立命館に進学出来るわけがない。 立命館の名前の高等学校に行って、それよりもレベルの高い大学に進学するのならまだしもそれ以下の偏差値の学校に行けば「アレッ、どうしたの、立命館大学ではなかったの」といちいち言われるのも辛かろう。一般入試で力があればどこの高校でも進学できるのだから。
・ 果たして立命館は「今後どう出るのか」大変興味がある。しかし今回の問題は大学のグループ入りに一定の歯止めがかからないか。今回は市立の学校である。今まで投資した国庫負担金や県の補助金の投入など大きな公金が入ったいわば「貴重な市民の財産」を簡単に私立大学に譲り渡して良いのかと言う議論も出てこよう。
・ この市長が再当選し、話が進むのか、振り出しにもどるのか、沙汰止みになるのか分からないが、立命館は「もう、けちが付いた。ここは止めた」と成らないとも限らない。しかし全国私町村が財政難に陥っているのであり、そういうところの公立学校を維持するのは大変なことも分かる。当然面倒を見てくれる私立大学があるならそこに経営権を渡し「後は宜しく」と思っている首長は多いはずだ。
・ 完全に「公設民営」の動きになってきた。私の見方は残念ながらこの「流れ」は止まらないと思う。そのうちに続々と出てくることが予想される。しかし問題は特定の大学に偏ってしまうことだろう。
・ ブランド大学に面倒を見て欲しいと考えるのは自然の成り行きで聞いたこともないような大学に渡そうなら更に大きな問題となるのは必定である。しかし「京都の立命館」が北海道の札幌とか沖縄とか全国至るところに立命館の名前が出てくるのだから、全国何処にでもある名前のようになっても新鮮味にかけるなーという感じもする。しかしブランド大学はさすがに強い。