2009年2月16日月曜日

2月16日(月)私学教員の人件費

・ 橋下改革で大阪府は08年度は黒字となる見込みであることは過日のブログで既に触れた。「09年度当初予算でも黒字予算」が組めそうと新聞記事にはある。最も減債基金からの借入などの「禁じ手」は封じたがまだ一部の借金を収入勘定に入れるからで見た目は良いが、不景気の影響で税収も変動するだろうから今後は油断は出来ない。この点は知事も十分認識されている。
・ 従って「09年度の人件費削減はない」と報道にはあった。これは「嬉しいニュース」で私はこれを聞いて「ホッ」とした。「私学の教員にも影響」がある話であるからだ。もし09年度も公立教員の人件費を下げるなら「本校も下げざるを得なかった」がとりあえずこれは「回避できそう」である。このように考えなければならない。
・ 「我々は私学だ、公立とは関係ない。わが道を行く」というなら「私学助成を辞退」しなければならない。公的助成金を1銭も貰っていないなら「府の介入など関係ない話」で教員人件費などは「自由に設定可能」だが、公的助成を受けながら公立教員と大きく給与処遇に乖離があるのは「望ましいことではない」というのが私の基本的考えである。
・ 知事の考えはすべてここに行き着くのだ。「いやだったら、公立に来れば良い。」「公私比率を見直そう」「あれは経営者のカルテルだ」などと「私学いじめ」と言われかねない発想で私学に迫ってくる。
・ それでも最近は「教育バウチャー」制度とか幾分事情がお分かりになって来られたと思うがいずれにしても「公立第一主義」であることは間違いない。「超エリート校10校」を作るなど典型的である。手厚い公的支援で公立学校ばかりに支援したらその内私学関係者は「むしろ旗」で府庁を取り囲むかも知れないという人はいる。
・ 従って私学は何処を突かれても「堂々」としておかねばならない。府民の税金と言ってもその執行は行政の長たる知事に委任されているのが「政治の仕組み」だからだ。「選挙で選ばれた首長」だけにその存在の根拠は明白である。府庁の役人はサラーリーマンで税の執行権限はない。あくまで知事だ。
・ 「私学の中には公的助成など不要」というところも東京ではあるみたいである。「財政支援は同窓会」などがやるという。うらやましい限りだ。本校は「絶対に頂く,頂かないとやっていけない」。それは本校の保護者を含めて「私学の保護者は国税も地方税もしっかりと支払っている国民」だから、本校はそれを「受け取る権利」はあると考えているからだ。
・ 私の本音は地方行政の知事から「助成金をやるの、やらないの」と言われる筋合いはないと考えている。元々は国民や府民のお金だ。しかし麻生総理ではないが「それを言っちゃおしまいよ」となりかねないので口をつぐんでいるのだ。
・ しかしこれ以上公私間格差がひどくなってきたら「私学公教育の破壊」で訴訟問題に発展する。一度法廷で論争があっても良いかも知れない。その場合、「参考人」で呼ばれたら堂々と私は「論陣」を張る。橋下知事は弁護士出身であるが、こちらも「負けてはいない」。私学助成が日本全国トップなら分かるが47都道府県で最低レベルで何を言うかとも言いたいが、今はそれを我慢しているのだ。
・ 私立学校は「土曜日が勤務日」であり、土曜、日曜と連休で休む公立教員とは違う。世の中が連休であるときに私学の教員は働いているのだ。正直「私学の教員は良く働く」。この分は「労働対価として公立教員よりは優遇されて然るべき」と私は考えている。それ以外は基本的に同じだ。
・ 府の黒字化は昨年の「1100億円の歳出削減」が大きく効いたことは間違いない。「収入の範囲内で予算を組む」「将来世代に借金のツケを回さない」という命題が一応路線にのったことは「橋下改革初動の成果」であり、「私学助成の削減と言う辛い局面」はあったがもし「これで終結ならば」、むしろ私は喜ぶべきことと考えている。
・ 私立の教員が公立教員よりも高い、高い給料を取っておいて、「公費の公私間格差が大きい、私学の授業料保護者負担になっている」と叫んでも、それは「パンチある声」とはならないだろう。「給料下げなさいよ」と、そこを突かれたらどうするというのがあるから私は対応してきた。
・ 公立教員の給与を100とした「人件費比率ラスパイレス指数」が120,125%という私立もあるやに聞くが、何時までもそのような「わが世の春」が続くわけはないだろう。大阪府私学課はそこを今睨んでいる。
・ 「人件費比率」について学校会計基準では「帰属収入に対する比率」を言うが「帰属収入とは生徒からの納付金と私学助成金の合計数値」を言う。学校の収入はそれ以外には寄付金とか事業収入があるが、事業収入とは学校がホテルなど経営して入ってくる外部収入であるが本校では全くないからこれはゼロ円でとにかく「本校の場合は帰属収入が学校収入すべて」となる。
・ ここに直近の興味あるデータがある。20年度の私学人件費比率であるが「全国平均は68.5%である。東京都は63.7%で大阪府は77.3%」である。本校は東京都と大阪府の中間に位置する。「浪速改革の効果」でここまで落ち着いてきたのである。
・ 学校改革の前は「惨憺たる様相」で特に浪速中学校の人件費比率が高く、「どうしようもない状態」であったがそれは一連の改革でようやく脱却した。高校に関して言えば今は「申し分のない状態」にある。
・ 人件費比率を下げるのは二つの方法がある。一つは教職員の「給料そのものを下げる」というやり方であるがこれは当然限界はある。もう一つは「生徒数を増やす」と言う方法である。即ち「分子を小さくするか、分母を膨らます」のだ。
・ 勿論両方やれればこれに超したことはないのであるが生徒数の増など「言うは安く行うは難し」である。しかし今の浪速はこれを実践できているのである。とにかく人件費比率を見る時はこの二つの要因を見なければならない。結局は「人件費の絶対値」が問題となる。
・ 世の中には経済の低迷の中で「雇用不安」が広がり現実の問題として「派遣切り」とか最近では「正規社員のリストラ」が遂に出てきている。これから本格的に「ワークシェアリング」が俎上に上ってくるだろう。これは「給与水準の低下」の意味である。
・ 私は大阪の私立学校の一つとしてこの大阪の風土、土壌の中で公立学校と他の私立学校との「対比」で本校の教職員が「惨めな寂しい誇りを持てない」ような処遇には絶対にしたくないと決意している。
・ 今大阪の私学で「ラスパイレスが100未満」と言うのは8校ある。96.8.95.7、95.7、94.1、94.1、88.6、87.6、69.1%である。このように約30%も給与が少ない私学の教員は大阪に現実にいるのだ。つくづく本校でなくて良かったと思うのである。しかし「明日は我が身」と謙虚にならなければならない。