2009年2月25日水曜日

2月25日(水)副校長の辛いお仕事

・ 人事担当の副校長の仕事は「しんどい」もので、それは常に「人事を抱えている」からである。最終的に3月末に入学人員が決まってクラス数が決定しないと教員数は最終確定しないからそれまでは「不安」を抱えたままで待たねばならない運命にある。
・ もう一つの大きな「しんどい」理由が、一旦内定した常勤、非常勤の先生が「突然、辞退を申し出てくる」ことがあるからだ。これは確かにしんどいだろう。しかしこれだって「あり得るよ」と何回も私は言ってきた。「教員の人事」とはそういうものだと私は思っている。
・ 「職業選択の自由の根本原則」から私は「致し方ない」と思っているのだが担当者としては、「あたふた」と次の人材を探す手配に入ることになるから、学校としては正直「歓迎すべからざること」には違いはない。
・ 私学は「教師こそ命」であり「良い先生が良い教育」となるからいい加減な教師は歓迎できない。見つからないからと言って「しぶしぶ手を打つ」などはあり得ない話である。しかし期末になるとそう簡単には「見つからない」のも事実で今頃良い先生が「ごろごろ」居るわけはないのである。
・ しかし世の中は上手いもので「教師派遣会社」みたいなものがあって最後はそこに頼めば何とか成るが基本的には「本校の人間になりきって頂く」ためには直接採用したいのが本音である。
・ 突然の辞退には様々な理由があるが、一つには「親の介護」とか「親の家から通いたい」とか「体調が悪くなった」とか理由は色々だが「他校の引止め工作」と「他校から常勤や専任の話を貰った」と言うのがメインではないか。あるいは「給与などの条件の違い」だろう。
・ 学校文化では非常勤講師の身分であったものが他校で常勤や専任の話があれば「堂々と出て行って良い」という不文律があり基本的には突然の辞退は許されているというが、契約書まで出来ていて2月の終わり頃に「バイバイ」と言ってくるのだから、「ウーン」と言う感じはする。しかしこちらも「引きとめ工作」はしない。「本校で働きたい」と言ってくれる人とだけやっていく。
・ 私は思う。確かに良い条件があれば、そこに行きたいと思うのは当然だが「その学校の将来性と自己実現の可能性」をよくよく考えねばならないと思う。見た目の勤労条件なども「明日の読めない時代」となってきただけに、若者が後で「後悔しないように」慎重な判断を望むだけである。
・ 「私学同士が人事面でも、もっともっと連帯」しないと公立の今の動きは凄いから負けてしまうという危機感が私には強い。しかし現実には私学は「ばらばら」である。各私学がそれぞれに採用活動をしているのだ。「連携の方法」は色々とあるのに。
・ 例えば非常勤講師のアクセスを考えてあげて2校か3校で「シェア」するのである。こうすると時間のロスがなく持ち時間にも余裕が出てくる。「お互いの学校が非常勤講師を人材バンクで共有」することが可能になるのである。
・ 又私学は入学者数で教員数が大きく変動する。そういう場合、専任教諭を「融通」するのだ。勿論人件費は当方が相手先に支払い教員の手取りは従来とまったく変わらないという「教師相互融通」システムである。
・ 生徒数が少なくなり、あるいは逆に急増することがあるのは私学においては日常茶飯事であり、「明日は我が身」と考えれば生涯保障の専任教諭の本格採用は慎重にならざるを得ないがこの「レンタル方式」だと負担は少ないし、大体「解雇」しなくて済むだろう。時期が来て「トレード」するか、本人が「FA宣言」するか方法はある。
・ しかしそうは言っても現実は難しい。学校には「それぞれの伝統とかやり方」とかがあり1年や2年の派遣など「教育効果に疑問」だとか「教師を馬鹿にしている」とかの「反論が直ぐ出てくるのも学校の特徴」だ。このような考えをするから何時までたっても私学は変わらない。
・ 着任時某女子高の理事長校長に本校は共学になって、2年、女生徒指導を高めて行きたいから一人ベテランの女性教師を1年間貸して欲しい。その代わり本校の英語のベテラン男性教師を1年間派遣しますと言ったのだが、結局この話は結ばなかった。
・ 叶わない理由は先方の理事長や校長にそういう意識が全く無いからで「夢のような話」に取られてしまうだけだった。私学における教員確保は本当に難しい。それは万が一期待以下であったら何処にも持っていくことが出来ないからである。人材バンクは「格差の解消」とはならないが軽減にはつながる。とにかく私学数校が人材バンクで「教師を連帯保有」することの本格的研究が必要であると私は考える。
・ このように私立学校はやはり公立学校と比べて「人材確保の安定さ」という意味では劣るから何時までも教員人事がダラダラと続くことになる。特に本校では専任比率が低いから余計に影響度合いが大きくなっている。早く専任比率を高めて行く必要がある。
・ しかしこの日記でも何回も触れてきたように「手順」はあって最初からと言うわけには行かない。最低でも1年以上くらいは常勤講師の経験と、出来れば「担任能力」なども観させて欲しいと副校長は主張するのだ。
・ さて今年の常勤から専任への採用はすでに5名は確定している。内3名は既に昨年10月に「期中昇格」させている。これは「6短」と言って「6ヶ月短縮」の意味であるがあくまで公式は4月である。男子英語で1名、女子英語で2名を専任にした。
・ 今年の4月採用は今のところ社会科で男子2名は既に内定しているから、期中も含めれば正式の4月昇進は男性教員3名、女性教員2名の合計5名は決定していることになる。更に如何するか今副校長や管理職が頭をひねって検討している。
・ 私は本当に本校で「一緒の船に乗ってくださる立派な先生は、引き止めるためにも専任採用」をと言っているのだが副校長は今居る常勤の先生は「素晴らしい先生が多く」、見極めには1年というのは余りにも短いと慎重姿勢を崩さない。
・ 秋田県と沖縄が「教員人事交流」をするという。「学力テストトップの県と最下位の県」の交流だ。良いことだしうらやましい限りである。私学はまだそういうところまで行っていない。しかしそれにしても公立は良い。このような府県をまたがった人事交流が出来るからだ。
・ 私学の「教員確保競争」が激しくなってきたとは思わない。「勝ち組」と「負け組」が明瞭に見えてきた。本校は決して負けてはいない。教職員が頑張ってくれて「勢い」があるからだ。私は本校で頑張ってくれている常勤講師の先生がたに「将来の夢」を差し上げたいと考えているし、本校はその「可能性が極めて高いということを認識」してもらいたいと思っている。