2009年4月11日土曜日

4月11日(土)小中一貫教育

・ 今朝の朝日に神戸市教育委員会も11年度から「小中一貫教育」導入と小さな記事があった。ここに来て公立の小学校、中学校において「小中一貫教育なるもの」が目立ち始めている。大阪市が11年度、横浜が12年度からだ。
・ ところで多聞小学校を買収したとの話が府内に流れた時に少なからず「浪速さんは小学校を始められるのですか」と聞かれた。思わず「苦笑」したものだった。確かに今や大学が小学校を設置し「囲い込み」をしようとしている状況下にあり、分からない話でもない。しかし今は全くそのようなことを考えていない。あんな山里で小学生が確保出来る筈もなく、生徒がいないから「廃校」になった小学校である。
・ しかし今、公立学校では小中一貫教育が全面に躍り出てきつつある。一種の「ブーム」である。ついこの前には「2学期制導入」がブームの如く躍り出たがこの風は「ピタッ」と止んだ感じがする。そうだ。「教育の世界もファッション」と同じような面があり、「流行に振り回される」きらいがある。しかし横浜も大阪も神戸も大都市だから注目に値する。
・ しかしついこの前までは「中高一貫教育」といい、今度は小中一貫教育だからいい加減なものだ。その内に「幼小一貫教育」などの言葉も出てくるかもしれない。一挙に「幼小中高大」と1直線のシステムに向かって行っている感じだ。
・ しかし考えても見よ。幼稚園から大学まで一本線の教育システムで厳しい受験勉強も無く、それで世界に伍していけるしなやかでたくましい生徒学生が育つだろうか。そこには海外の大学進学などの発想は無い。全く持って日本人の「内向き発想」である。
・ 小中一貫とは小学校の6年間と中学校の3年間を一体的に捉えて教えるシステムであるが組み合わせはいろいろとある。小学校1年生から「4-3-2、3-4-2、5-4の3種類の組み合わせ」である。
・ 私も詳細勉強したわけではないので良く分からないが一言で言えば「小6ギャップ」「中1ギャップ」対策だろう。とにかく小学校6年生と中学校1年生で「学校適応力の問題がある」ことが背景にある。今はどちらかというと中1ギャップのほうが問題となっている。
・ 狙いは「小学校から中学校への段差」を滑らかにするものであり、「軟着陸」を図ろうとしているのが基本的考えである。中学に進んで急に「授業の進度」が速くなったと感じる生徒が多いとのことで特に小5,6年生は「教科担任制」を取ることが目玉だ。
・ 小学校は「担任制」で何でも間でも一人の担任が面倒を見るのであるがこの限界を改めるということではないか。これは大変「良い考え」だと思う。大体小学校教育で一人の担任が全てを見るというのは「その先生一人の全人格」が小さな生徒に降りかかってくる。私はここを危険視しているのだ。幼いながらも「先生には色々なタイプがいる」ということを肌で感じさせることが必要である。
・ しかし小中一貫教育の理念は良いが上手く「機能」するように仕組みを作らねば「魂入らず」となる。横浜や大阪市、今度発表した神戸も校舎の一体化や校名の統一までは考えていないという。ということはそれぞれに校長が居るということである。ここが問題だ。
・ 普通は一つの中学校に学区内の2ないし3の小学校がある。これを「1中2小」とか「1中3小」とか言うのだが形はそのままだとすると「出来ることは限られるのではないか」。
・ 中学校の教員が小学校に教えに行き、小学校の先生が中学1年生の生徒に小学校の算数をもう一度教えにいくというのは口に出しては分かるがどのようにカリキュラムを組むのか難しい面もあろう。
・ 校長を一人にして小学校、中学校に副校長を置き、「連携を強めれば」効果は大きいと分かるが生徒の安全や費用などを考えれば大変になる。だから出来る範囲でやっていこうと言うのが今回のアイデアだろう。
・ しかし私立中学校からすれば前述のような形が望ましい。それは小中一貫教育を受けている生徒が中学は公立に行かず私立に進学したいと行って来た時の対応だ。公立小学校のカリキュラムが様々だと私学に進んだ時に「学習進度の調整」を取らねばならないという課題もでてこよう。
・ とにかく今全国の自治体で動きが出て来た。香川県直島町立直島小中は5-4タイプだ。3-4-2は宮城県登米市立豊郷小中、主流の4-3-2タイプは東京都品川区、広島県呉市、宮崎県小林市、宇都宮市などだと報道されている。
・ 現在の学校教育法は「6・3制」を明確に規定しているがどうも「運用面では柔軟に措置」できる雰囲気になってきており確かに戦後60年を過ぎて6・3制も見直す必要があるが見直せない理由は「莫大な費用と人事」なんだろうと私は思ってしまう。
・ 実は08年度で小中合計で1566校が「教育課程の特例校」としての指定を受けており、その地域の教委委員会の強力な指導力でやり方は様々に出来るのだから是非弾力的に進めるべきだと思う。
・ そして公立が小・中・高と一貫に出来た時に日本の教育は変わるだろうが、ところがそれは「一筋縄ではいかない話し」である。大阪府と大阪市の仲の悪さは有名で水道事業一つ,簡単にまとめられないレベルだ。まず「教育委員会の意義再検討の議論」が必要である。
・ 又「道州制」などが俎上に上ってきたら他府県との接続も議論になるだろう。私は思うのだ。戦後の教育の枠組みを再構築することこそ今の日本に必要な国家百年の体系」だと思うのだが政治は教育に疎いし余りにも鈍感だ。
・ 「国立大学は大学法人となり民間に1歩近づいた」。これで基本的には大きな障害は無くなった筈だ。後は高等学校の公私間の垣根を取っ払い、次に小中の一貫教育を一人の校長で行うのだ。その校長は公務員では駄目だ。即ち「公設民営」とする。そうすれば教職員組合も「経済闘争に特化」していく。イデオロギーとは決別せざるを得ないだろう。
・ 戦後60年継続された日本の公教育は実は「極めて狭い閉鎖された塀の中」でやられていたもので外部には窺い知ることさせ出来なかった「治外法権の世界」であった。「鉄は熱い内に打つ」ことが肝要で「小学校中学校教育改革こそ最大の問題」である。今後とも紆余曲折はあると思うが徐々に「教育改革の本丸」に近づいた感じがする。小中一貫というのは過程にある一つの形である。

・ 明日は「多聞尚学館の開館式典」だ。保健体育部長の運転する学校車で13時、学校を後にして多聞に向かう。準備状況の視察であるが万全でほぼ整っていた。素晴らしい。教職員が頑張ってくれている。明日が本当に楽しみになってきた。明日は「ご来客を心から歓迎してサービスに努めたい」。