2009年6月7日日曜日

6月7日(日)NHK大河ドラマ「天地人」

・ 日曜日のNHK大河ドラマは大体見逃さないのだが今年の「天地人」は「どーもなー」という感じだ。昨年の「篤姫」は良かった。主役の直江兼継を演じる妻夫木聡という俳優だがさわやかで感じは大変良いのだが、「ウーン」と言わざるを得ない。
・ 作者や脚本家が「新しい人物像」を描くために思い切った「キャスティングやストーリー」を運んで行くのは良いのだが、それにも限界があろう。あの主役はどう考えても「戦国武将」には見えない。時はまさしく信長、秀吉の戦国真っ只中の時代というのに、何か「青春ドラマ」と見間違うような「顔立ち」で、それに「直ぐ涙目、泣き顔」になる。とにかく目に演技が出てくるから素人っぽく見えて仕方がない。
・ その他の配役も私は「良く分からない」。あの信長を演じた吉川と言う俳優は何かオカルト教祖みたいに「薄気味悪くて」、私の評価では今までで最低の信長像であった。「大好きな信長」のイメージを壊さないで欲しい。
・ それにあの秀吉の軽さや下品さは一体どうしたことか。あれでは太閤まで上った秀吉に悪い。笹野さんは素晴らしい俳優だが所詮「脇役」で準主役を張れる役者ではない。「背伸びした演技」が分かり、あれは笹野さんではない。
・ 石田光成に至っては何処を見ても聡明とは見えず、あれでは大衆演劇の売り出し中の若手役者と言う感じだ。準主役の北村一輝演ずる上杉景勝も何か「発達障害」を負っているようなイメージであるが、あれが演技なら大した俳優だ。
・ 宍戸錠や山本圭演ずる上杉家の重臣たちの演技は存在感があって大変良かったが主役陣とのギャップが大きくて残念である。そうこうしていたら先週は訳の分からない真田幸村が出てきた。私は「びっくら」こいたのである。
・ 今日も景勝と兼継が二人とも昔を思い出して泣いていた。そうだ。天地人は「イケメン俳優青春涙物語」なのである。そして遂に本日、この大河のテーマである「義」と「愛」が登場した。上杉家の「義」と兼継の「愛」である。
・ そして直江兼継の「愛の兜」が出てきたが、まさに今日のこのシーンに至るまで毎日曜日のドラマ展開の脚本と演出は苦労してきたのだ。今日がドラマ「前半戦の山場」だったのだろう。「なるほど」と私は感心した。
・ しかし戦国武将に「愛」でもなかろう。この愛は「愛宕権現」や「愛染明王」の愛であって「ラブ」ではないと思う。しかしどうもテレビではラブラブの愛みたいだった。私は見ていて「恥ずかしかった」。照れるのだ。
・ 「愛といえば」、新しい民主党の代表鳩山由紀夫氏も就任演説で「友愛」をキャッチコピーとした。多くの政治家や国民の中には未曾有の経済危機の中であえいでいると言うのに「何が、友愛だ」と思う人は多いだろう。分かるような気がする。
・ しかし面白いではないか。この厳しい時代にNHKでは「愛の武将」、政治の世界では「友愛の政治家」の登場だ。そういえばこの妻夫木さんと鳩山さんはどこか似ているところがある。アメリカのオバマ大統領も近い感じだ。時代は「優しい感じの愛とか友とかを恥ずかしがらずに」言う人の時代かも知れない。
・ しかし上杉家の家老直江兼継だが結局のところ、関が原では三成の西軍に味方し、会津120万石から米沢30万石へ減封された。「年収が1/4にカット」されたのだ。かろうじて家康の配慮で「ブランド」だけが残されたと言う感じだ。配下の侍とその家族は塗炭の苦しみだったろう。
・ 上杉謙信以来の名門で秀吉時代には「五大老」に列せられた戦国名門中の名門の家柄が地方大名の一人になってしまった。家老としては「切腹もの」ではないのか。大体、信長が本能寺に倒れなかったら上杉家は魚津の戦いで滅亡していた筈である。運が良かっただけだ。
・ 時代の流れを読みきれず「」だとか、「」だとか言っても、結局同時代の加賀百万石の前田家や仙台伊達藩の60万石に遠く及ばず、戦国一の武将と謳われ、武田信玄と川中島の戦いで死闘を繰り返した「上杉家のその後」を見るとき、「名門没落の悲しさと歴史の非常さ」を私は感じるのだ。すべて「人材のなせる業」である。
・ テレビでは今後「天下分け目の関が原の戦い」に向かってドラマは展開していくだろうが、景勝、兼継ぎは彼ら流の義と愛で乗り切っていくのだろう。「小さくても良い、生きていこう」ということだ。偉大な初代に比べ相当落ちる2代目の田舎武将の生き様が反映されたと私は思っている。
・ 歴史は見事に正直に全てを映し出す。2代目は辛い。初代は偉い。謙信は偉かったが2代目の景勝は駄目だった。結局凡将だった。秀吉は素晴らしかったが秀頼は可哀想であった。「どの世界も2代目はしんどい」。初代の偉さを周囲が知っているだけに2代目とその配下は「やりにくかった」。
・ それもこれも2代目を育ててこなかったからである。「2代目をどのように準備するか時のトップにとって最大の重要ごと」である。浪速もまったく情勢は同じである。「私の後継者」をどうするかそこが問題である。上杉謙信公も景勝と景虎の間で後継者を育てていなかったことが、お家弱体すべての敗因の源であろう。
・ 厳しい時代になった。愛だの友情などまず最初にノタマうような人物は決して浪速の後継者にはしない。学校はそんな「甘っちょろい」ものではない。しっかりと私の路線を受け継ぎ発展させて貰わないと困る。上杉家のようになっては駄目だ。
・ 「学校を守り教職員の仕事場を守ってくれるような後継者」を私は探さなければならない。年俸が1/4にカットされては困る。4倍にしてもらわないといけない。「一人孤独に耐えて全責任をもって学校を引っ張っていく後継者」を探さなければならない。上杉家が「義と愛」なら浪速は「剛と柔」だ。「強く、優しく」である。しかし大河ドラマは面白い。今日もしっかりと見てしまった。