2009年9月20日日曜日

9月20日(日)その1:週間ダイヤモンド社給料全比較


・ 毎年9月中旬に発行する「週間ダイヤモンド」社の雑誌を楽しみにしている。絶対にこれだけは外さない。今年は9月19日号で特集「給料全比較」が例年通り出た。「職種別・会社別・資格別最新調査データが満載」で年によって「テーマ」が異なるのも嬉しい。
・ 今年は「ボーナス」「福利厚生」「官民格差」を主題においていた。ちなみに去年のテーマは「年齢別賃金」「社内格差」「残業時間」であった。これだけまとまってデータを整理しているのに私は関心するのだ。
・ これをどう活用するかと言えば、このデータを分析して私は教職員に示すのである。浪速に来て3年間続けてきている。「職員会議」に出し、世の職種に対して「学校の教職員のポジションを知る」と言う目的である。理系出身というわけでもないがとにかく「データ」を私は大切にする。
・ 「データはデータでしかない」が「それでもデータはデータである」というのが私の考えである。驚くであろうが一般的に学校の教職員は「データ」というものを扱うことに慣れていない。だから前の公立の時代から「賢い見識ある教員」はこの私の作業を評価してくれていた。
・ 一部の勢力には「データを忌み嫌う」性向があって「データを隠蔽」する、データを見ないようにするというところもある。官庁なんかにもこの傾向は見受けられる。しかしこれが「唯我独尊」に繋がる。「データは冷静に見るものでデータから逃げてはいけない」。
・ 確かに「データは時に酷」である。入試説明会の暦年別、時期回数別に並べてみると「一目瞭然」ですべてが分かる。データの良い点は次が、将来が「想像」が出来ることである。「想定」と言っても良い。
・ 私は昔から「他との比較」で「自分のポジション」を知り「次の行動パターン」を決めると言うところがある。こういう作業をしていると楽しくてならない。そういう意味で今年の雑誌を手元において分析しているのである。一種の「情報お宅」かも知れない。
・ 今年のPART1のタイトルは「消えた給料」であった。「消えた年金」をもじっているのは間違いなかろう。この「10年間で勤労者の減少した給料は20兆円」とし、まさに「給料デフレ」だというのである。「こういう捉え方が参考」になる。
・ データの元は国税庁の「民間給与実態統計調査」によるから信頼性はある。時間ギャップがあるが統計は「1997年と2007年の10年間」の間に「何が起きたか」というものである。1997年と言えば神戸連続児童殺傷事件、東電OL殺人事件、北海道拓殖銀行の経営破綻、山一證券の自主廃業など社会を震撼させる事件と日本経済を揺るがす出来事が起きた時代である。
・ この時の「全労働者の数は5240万人で給料総額は約221兆円、で平均年収は421万円」であったとデータは示している。それが10年後の2007年には給料総額は約201兆円で差額の20兆円が「吹っ飛んで」しまっているというのである。
・ 一方で「労働者総数は5376万と136万人も増えていることから平均年収は374万円と11%減少」している計算になる。問題はなぜ年収が減少したかであるが以下のように分析している。
・ まず「男性社員の年収がダウン」する。不況の影響である。特に50歳代の下げ幅は大きい。そしてこの10年で「非正規社員が23.2%から33.7%と増え」ている。リストラで正規社員が減少し非正規に置き換わっているのが見て取れる。
・ そして「夫の年収ダウンに危機感を募らせ、家計を助けようと働き始めた女性の労働者が95万人も増加」しているがこの人たちの「66%が年収300万円以下」だというのである。これでは平均値が上がるわけはない。
・ こういった情勢の中で「97業種の推定年収ランキング」に目をやると今年の「私立高等学校教員の平均年年収は43.7歳で724万円」と出ている。私は昨年と一昨年のデータを取り出して比較してみた。ほとんど変わっていない。尚本校教員の平均はこれよりも高い。
・ 「2008年43.9歳で736万円、その前年の2007年は43,4歳で724万円」と出ている。新卒が入ったり定年者が増えたりで変動はあるものの「学校教員の給料は下がっていない」のである。
・ 日本の97業種の中で順位も変わっていない。トップはプロ野球選手で3,631万円、2位がJリーガー2993万円、3位が競馬の旗手で2496万円、「私立高校の教員は97位中20位に位置」している。例年この前後だ。
・ 前述したように「全労働者の平均が374万円だから私立の教員は丁度平均の2倍の給料を得ている」ことになる。平均以下の職種は左官371万円から始まってミシン縫製工の196万円、農家120万円まで極めて多い。
・ 「幼稚園教諭は30.5歳で79番目で336万円、保育士が33.5歳で84位で323万円」に位置している。地方公務員一般行政職は43.3歳で22番目で700万円、国家公務員一般行政職は41.1歳で22番目700万円となっている。
・ 言いたいことは私立の教員の給料はまだ相対的に「高い」ということと、世の中が変化しようとも、この10年全く下がっていないと言うことなのである。「社会の疎開地にいる」のである。
・ このことは何を意味するか。言い換えれば「社会はまだ教職員の給料を高いところにとどめておく寛容さを保持してくれている」のである。私はそのように考えている。有難いと思わねばならない。
・ それはやはり「教職と言う職業への敬意と先生という人間への尊敬の念」ではないのか。私は給料が高いから「下げる」と言っているのではない。まず「この事実の認識」と「これに対してどのように仕事をし、成果を上げるか」と言うことが問われているのである。
・ 今後はまず一律に下げると言うことではなくて「能力、業績、貢献度、服務態度」に応じて「頑張る教員への応援」という「人材育成・評価・処遇」のサイクルの中で給料が変化してくる。卓越した教師はもっともっと高い給料を手にして良い。
・ 能力に欠け、努力もしない教員は退場するか、仕事に相当する給料で我慢してもらわねばならない。「パイ」は限られているのだから今までみたいに全員一律に1円の違いもなく定期昇給していくという時代は「過去の遺物」である。少なくとも本校はそのようにしていく。当たり前の話だ。