2009年10月9日金曜日

10月9日(金)久々に橋下知事の登場です




・ 久しぶりに大阪府知事である「人間橋下徹」氏を研究できる「小さな、小さな事件」があった。8日の朝日の朝刊に記事がある。他紙にはなかった。その日の夕刊になって各紙は結構大きく取り上げている。この辺が面白い。夕方の朝日放送TVでも報道していた。
・ 朝日の記事の見出しは「職員の反論メールに激怒」「橋下知事 “物言い非常識”処分も検討」とある。要は知事が「全職員宛に税金に対する意識の低さを嘆くメール」を出したところある職員が「反論のメール」を出したらしい。しかし後述するがこれは反論ではない。新聞記事もこれを反論と書くのは問題である。
・ 知事はこのメールに対して「物言いが非常識」と言って「激怒」したと朝日は書く。知事が一連のやり取りを府の幹部職員に転送してこの職員の「処分を検討するよう指示」を出したというのだ。そして次が朝日らしいのだが府庁内では知事のこの態度を「度量が狭い」と疑問視する声もあると書いていることだ。
・ 又記事の末尾には職員の中から「知事自身がメールを送ってと言っていたのに気に入らなければ処分なんて」と「おびえる声」まで出ていると記事に書いているが知事が怒っているのは「物言いというかマナー」であってこれはピント外れだろう。
・ それにしても朝日の論調は「この種のメールに対してえらい寛容で」、まあごちゃごちゃいう知事がさも悪いと受け取られない感じである。一方夕刊の産経は小さい扱いで淡々と記事にしている感じであった。
・ 新聞記事というのは「見出し」を見ればすぐその新聞社の「姿勢」が分かる。産経の見出しは「メール内容非常識」「橋下知事、職員に厳重注意」とある。朝日みたいに知事への批判的ニュアンスは滲ませていない感じである。
・ 読売の夕刊は「橋下知事に批判メール」「厳重注意“上司への物言い非常識」と出ていた。かなりの段数で、どのような事件か、何があったか最も分かり易く記事にしている。例えばこの職員の知事への返信メールをより具体的に報じている。
・ それによれば「愚痴はご自身のブログ等で行ってください」「メールを読む時間X全職員の時間を無駄にしている」と返信し、これに対して知事は「非常識さを改めること。言い分があるなら知事室へ来るように」と返信したらしい。これが第一幕である。
・ この職員はこれで素直に謝れば良いものを更に「恐らく逆切れ」で反論の返信をしたらしい。第2幕は「お呼びなら公務をどけてでもお邪魔する」と書いたとある。これでは「喧嘩を買っている、いや売っている」ようなものだ。
・ 頭に来た知事は「放置できない、処分!」と人事部に指示した。人事部の聞き取りに対して「表現が不適切であった。反省している」と話したと言う。すぐ誤るなら「そんなことはするなって!」と言いたい。
・ 処分は「厳重注意」とされたらしいがこれは地方公務員法上の懲戒処分ではないから人事履歴には残らない処分である。間に立った人事もさぞ苦労しただろう。放置すれば又世論が騒ぎかねないし、知事の手前、何かをする必要があった。
・ ここで一つ、民間会社ではこのようなことでは処分は無い。もともとこのようなことを想定していないからなのだが、組織内のことをこのような形で「決着」するようなことはない。放っておいても間違いなく昇進や昇給、場合によっては左遷、出向などが決まりきっているからである。でもここまではいかないだろう。直属の上司か先輩に怒鳴られて知事に謝罪に行ってそれで済む話だ。
・ 大阪日日だけが今朝の朝刊で大きく記事にしているが、日日は朝日と同じで批判的論調と感じた。今回の各紙の内容はざっと以上のようなものである。新聞記事でもテレビでも知事は言っている。「上司に対する物言いとしては非常識。民間なら私は社長、部下が社長にこのような物言いをしますか」とかなり「憤慨」している。
・ 確かにこの職員「知事のメールに対して「文も論理的でなく、それなりの職についている人の文章とも思えません」とまで書いているから知事の激怒も分からないでもない。知事は「府民の代表に物を言っている自覚が足りない。どこかでけじめをつけなければならない」と処分の理由を説明しているそうだ。
・ しかしこの保険所勤務の40台の女性職員も「常識がない」。知事は全職員に公金と言うものに対してもっと「感覚にシャープさを持って欲しい」と包括的な指導をしているのだから「素直に聞いたらどうだ」と私は思う。
・ 少なくとも知事は府民の負託を受けて「何一つ手を抜かず」「体を張って業務を推進」していると思うしご自身もそう思われている筈だ。府議会での議論などで闘っている最中に言わば「直参旗本」と思っている「自分の部下」からこのようなメールが来ると「頭にはくるわなー。」
・ 私なりにこの職員を分析すると、この40台の女性職員はまず自分は組織の一員であるとは思っていないのではないか。組織の頂点に知事がおり、自分は知事の手足となって仕事をしているという考えはまず持っていないだろう。
・ 知事は自分とは遠い存在で「自分たちの給料を削減し、一人でテレビに出てはええかっこ」ばかりしている存在としか見えていないのだろうと思う。自分の給料は知事から頂いていると言う感覚などまったくないのではないか。
・ しかし公務員と教員は大体このような「性向」がある。一般の民間企業に比べて処遇は高く、身分保障されているから「はいつくばった営業」もないし「リストラ」もないし、一番人間の「緊張感を麻痺させる麻薬みたいな職業」であるといっても良い。
・ 余程本人がしっかりしていなければ「崩れていく」ものであることは中央省庁の国家公務員でも多くの不祥事があったことで証明されている。すべてがそうというのではない。「比率の問題」と言っている。
・ 民間企業でこのようなことをするケースはあるがそれは「辞表を叩き付け」てからの話である。今の仕事は温存しておいて「給与支払者」にこのような「無礼千万な態度」をするような者は知事のいうように「処分が相当」である。
・ 前にもあった。知事が若手職員と話し合いをしているときに知事に向かって「あなた呼ばわり」したこれも女性職員であった。どうして府庁には時々このような人が出るのかそれが面白い。本校にはこういうレベルの人間が居ないのが嬉しい。「社会的常識」は分かっているのだ。
・ 感情的な反論ではなくて「論理だった反論を礼儀正しい形」でやれば逆に橋下知事の性格では「評価」されるのではないか。ところがだ。この手に限って「論理的な思考」が出来ないとくるからそこが問題なのである。
・ 私も時々「激怒」するが似たようなものだ。「好き嫌い」は良いから「仕事をせよ」「何かあれば案を持参せよ」「仕事の結果を報告せよ」等々であり、「組織人にとって上司からの叱責」は在りうるものだと思っていたほうが良い。
・ 大体「職場が心地よい温泉場とか湯治場」などと思っているのではないか。「仕事場は戦場」であり、プロの意識と技が飛び交う闘いの場であり、リフレッシュしたりリハビリをしたりするところではないということを分からねばならない。