2009年11月30日月曜日

11月30日(月)授業料値上げの学校を発表




・ 今月の27日に「大阪私立中学校高等学校連合会(中髙連)」は府内の私立中学校と高等学校の来年度入学生の「授業料を値上げする学校」を公表した。これを受けて現在検討されている「高校の授業料無償化」とあいまって、「社会的関心事」とし、翌朝の28日に各紙が大きくこれを報道している。
・ 本校は今年度入学生から値上げさせて頂いており、中学校、高等学校とも「2年連続値上げはしない」と理事会でも結論が出ており「入学金、授業料は据え置いた」。しかし28日の新聞記事によれば95校のうち「2年連続で値上げをしているのは3校」であった。商大堺、関大北陽、四条畷学園と名前まで出ており驚いたのだが、私は正直「勇気ある学校だなー」と感心したのである。
・ 22年度入学生から私立高校95校のうち「24校が平均42000円値上げ」、私立中学校は64校中「14校が平均5万円の値上げ」を決めたとある。これで大阪の私立「高校の平均授業料は784100円となり、中学校は813200円」となる。
・ ちなみに本校は「浪速高校が780000円、浪速中学が800000円」であるから「平均よりちょっと下」で入試に関わる人間からすれば「良い位置につけている」というが、別に「競馬」をしているわけではないから位置など関係ない話である。
・ 朝日新聞は「授業料の最も高い学校」まで名前入りで報道している。関西学院千里国際髙と来春開校の関西大学髙(高槻市)が両翼で90万円、中学は関西学院千里国際中が945000円と言う。本校より12万円以上も高い。理事長とすれば、正直「うらやましい気」もする。
・ 最も「上げ幅」の大きかった学校は近大付属中髙でともに前年比96000円増の800000円と言うことだが学校関係者のコメントとして「14年ぶりの改定で財務内容の悪化を改善し教育内容を維持するため」とある。良くわかる。
・ とにかく昨年橋下知事が行った「橋下流教育改革」はまず私学への助成を高校で10%、中学で25%カットしたことから始まった。その結果が今年の春と来年の春の私立の授業料値上げである。結局2年で「75%の学校が値上げ」したことになる。
・ 28日の大阪日日新聞によれば橋下知事は「私立高校の経営状況に関わることなので仕方が無い。」とコメントし、続けて「経常費削減が値上げの理由ではないと聞いている。」と述べたらしいが、これは「微妙な言い回し」ではないのか。
・ 今回値上げをした学校はその理由を「施設設備の補修整備」が17校で、「財務内容の改善」が14校、「長年据え置いたことによる財務内容の悪化」が11校と報道されているように、値上げの理由はこのようなものなのである。背景には「少子化による生徒数の減少」がある。「教員の給料アップに使います」と言う学校など何処にもない。
・ 幾ら公費を受けるからと言って行政が「私立学校法で拠っている私立学校の独立性」を侵すような「行政指導」は受け入れられないと強行に申し入れた学校があり、先程行われた大阪府と私学側の会議で「大紛糾」したと聞いている。
・ 知事は「経営状況を公開する必要がある」と指摘しているのは「私立学校法の精神」から正しいが、これによってすぐ財務情報を公開しない私学の運営費助成金を削減すると言うのはまず「行政指導」を適切に行ってからの話だろうと思う。ホームページ公開を義務付けているわけではない。
・ 100%公金の府立高校も学校単位で財務状況を分析できる範囲で行い公開する必要があるのではないかと言う議論になってこよう。ある学校では生徒一人当たりの公費の投入が極めて大きいが別の学校では極めて少ないと言う状況もあるだろう。同じ公立学校でも「税負担の割合」が学校単位で大きく異なれば「公教育の軸がぶれる」と言うことにもならないか。
・ 私学は「私学の経営側が責任を持って経営と校務の運営」を行い、「結果の責任も受ける」ということだ。授業料の高い高校に行く価値がないと生徒保護者が思えば、その学校は「それでお仕舞い」であり、「自然に淘汰」されていくだけの話ではないのか。
・ 授業料が高いか安いかは行政がとやかく言うものではなかろう。高島屋と大丸のデパ地下で同じものの値段が違うと言って「消費者庁」が乗り出す話ではあるまい。「あそこは値段は少しお高いけど新鮮なのよね。中国産もないし・・」と消費者は良く観ているのである。
・ 更に大阪府は「経営側の報酬」についても言及しており、「年収基準」を決めて、このオーバーする部分についても助成費削減の判断材料とすると言っている。言ってみれば幾ら理事会が決定した報酬を受けようとしても、府は基準をオーバーしたらそれは助成費を削減すると言っているのである。実質的な民間企業の役員の報酬を行政が決めると言うことにならないのか。
・ おかしな話だ。「公費の部分はすべて120%生徒へ還元」されており経営側の報酬に回っているのではない。「経営や教職員の給与などは保護者納付金で賄われている」と言うのが私の基本的な考えで私学助成とは関係ない話だと考えているが果たしてどうなのだろう。頭を整理して再考しなければならない。
・ 又これは簡単な話ではない。オーナー経営者で家族一族で理事を占めている学校などは「総計が大きくなる」が、本校のように「たった一人で理事長、専務理事、校長職を遂行」しているケースはどうなるのと言った議論も出てくる。
・ しかし日本経済が現在混沌として先行きが見えず、経済状況が厳しいとの認識に立てば、「自助努力」を行い、「財務体質をいくらかでも強化」しなければならないとする方向は言われなくとも分かっている話であり、私は「本年度の理事長校長役員報酬を自ら削減する」ことを決めた。12月理事会に諮る。
・ このことを11月26日の「職員会議」で全教職員に伝えた。又教職員の本給や賞与の支給月数は当面は変えないが「手当て」については「見直し」があると伝えたのである。とりあえず「多聞尚学館の手当て」についてはある程度の削減の理解を求めたのである。
・ 「財務内容の公開」については府の指導の出る前から本校は「ホームページ上に公開」してきたが、今回完全開示を行うべく整理しすでに作業は終わっている。これを観て頂ければ「本校の経営状況」が一発で分かる筈である。
・ 本校のように「資産が増加している学校」などそう多くはあるまい。本校は19年度から黒字に転換し、「累計損失を減らしながら」新経営計画通りに「新校舎建設」に向かって着実に「資産を積み増しており」、なんら「経営に揺らぎは無い」ことは誰が見ても分かる筈である。
・ この3年間、単にお金を積み立てて来たのではない。校内の「設備施設をリフレッシュ」し「第二グラウンド」も作った。千早赤阪村から廃校となった小学校を買収し改造を加えて校外宿泊合宿設備の「多聞尚学館」を完成させ教職員生徒保護者から大変喜んでもらっている。
・ この状況、すなわち、たった3年で「赤信号の学校」から「資産が積みあがる学校」へと転換できた「舵取り」は「理事長、専務理事、校長たる一人三役の私の仕事の成果」だと強烈な自負を有している。
・ 勿論理解と協力してくれた「教職員の力」はあったがこの3年で代わったトップは私だけであり、「私の考えで全て」を進めてきた。生徒募集には「座長、自ら主役」を務めて頑張ってきた。そして今の学校の現状がある。このことについて「とやかく」いうことだけは許さないと思っているのである。役員の報酬とはそういう結果から決まってくるということである。