2009年12月11日金曜日

12月11日(金)デフレの時代




・ 少し古いデータになるが日銀情報サービス局が事務局である金融広報中央委員会が10月末に発表した2009年の「家計の金融行動に関する世論調査」で「老後の生活が心配である」と答えた世帯が全体の「84.3%」と前年を0.3ポイント上回り1997年に調査を始めて以来最多になったという。
・ これは100年に一度と言われるような金融危機後の所得・雇用環境の悪化や年金制度への不信などが背景にあり、「自分の老後は大丈夫か」と不安を抱えていることは間違いない。私はもう初老の人間だからもう心配はしない。なるようにしかならない。
・ 老後を心配する理由で最も多かったのは「十分な貯蓄が無いが75.6%」で、次いで「年金や保険が十分ではないが71.7%」、「現在の生活にゆとりがなく、準備していないが43.3%」の順だった。
・ 調査は6月から7月に行われ、有効回答は4026人と言うから少ないが日銀発表だし信頼はあるデータと思っている。しかしそれにしても「衝撃的な数値」である。その一方で「貯蓄を持つ世帯の平均保有額は1478万円と2年連続で減少」している。まだ1478も貯金があるのかという感じもするが・・・。
・ 「家計のやり繰り」は厳しさを増し将来に備えた蓄えを増やしにくくなっているのだ。「貯蓄残高が1年前に比べ減少したと答えた世帯は全体の44%」と2.1ポイント上昇している。年齢別では60歳代が最も多く半数を超えている。
・ 「一体全体この国はどうなってしまったのか」という思いがする。「昭和元禄」といわれ「一億総中流」といわれた時代は「はるか昔の時代」となり「坂道を転げ落ちるように」転落している感じだ。
・ 教育界に身を置いていると何時も「生徒たちの将来」に思いを馳せる。この子達が社会に出た時に日本は働き易い元気な国であるのだろうかと思いが募るばかりである。暗い失業率の高い国になって、「大学は出たけれど就職先は無い」ではいかにも辛いのである。
・ どうも「世界同時デフレの時代」になってきている感じである。勿論経済学者ではないから専門的なことは分からないが今まで企業などで生きてきた経験と勘から匂ってくる。私はどうもある一つの現象を徹底的に分析し考察する「」がある。「性癖」と言っても良い。
・ 「高校授業料の無償化」は日本における中等教育のあり方に変化をもたらすとブログに書いた。地元大阪では早速橋下知事は「私学の授業料抑制」にかかってきたと私は観ている。
・ 私立高校独自の給付型奨学金は低所得者への授業料の削減である。究極は無償化に繋がった。今後年収水準を拡大すればますます「私学の平均授業料は下がっていく」ことになる。
・ 勿論公費助成があってのことだが、「公私間格差」の縮まりに成っていっているということであるが、これも一種の「デフレ」現象である。「私学授業料デフレ」が始まったと私は観ているのだ。
・ 車、不動産、住宅着工件数の大幅な割り込みなど「需要不足」は無視できない状況になってきている。近くの高島屋や大丸デパートでは高級品が売れない。「価格破壊」の時代になってきた。
・ 今や高級すし店などは町には見かけない。すべて「回転すし」に変わってしまった。高級中華料理レストランも少なくなった。「餃子の王将」で十分だからだ。プレタポルテの「ブランド洋服」など若い女性は誰も買いに行かない。「ユニクロ」で間に合うからである。
・ そこにもってきて「円独歩高」となってきた。エコノミストの中には「1ドル50円時代の到来」を叫ぶ人も居る。国の借金は900兆円に狭り、幾ら「事業仕分け」をしようが大幅な国債発行をしなければ国の予算が組めないという。世界で中国だけが元気と言う何がなにやらさっぱり分からないし、民主党もばらばらだ。
・ こういう国の現況は若者に良い影響を与えるわけが無い。私はそれを心配している。どうも最近は「若者気質」が変わってきているという。私は「世相の影響」だと思う。例えば「若者が車を買わなくなった」という。
・ 「デートに車は要らない」「車に金をかける男はダサイ」という女子大学生。「友人を乗せて事故などの責任を負うのはいや」「税金や駐車場の料金が不安」とかなんとか。我々の世代は「車大好き」で後先のことなど考えず車を買って毎日磨いてばかりいたが完全に世相は変わりつつある。
・ 消費に関心が無いわけではなく、ファッション、ゲーム、情報機器、ゲーム、家具、外食などには興味があるのだ。その代わり3Kすなわちクルマ、カデン、カイガイには関心が薄いという。「ホントかいな」と言う気もするが・・。

・ 最近面白い記事を目にした。何の記事だったか忘れたが、要は「江戸時代は日本で最も平穏な時代だった」というのだ。「鎖国」で国を閉ざし、農業主義で「290近い藩に「群雄割拠」し、「地方分権だったのか」「江戸幕府という小さい政府」だったのか論理的には整理できていないがとにかく「国民は幸せ」だったというのである。
・ GNPは世界第二位などでなくとも「つつましく生きて」、幸せだったというのである。考えさせられた話であった。「高校生や大学生たちに将来の夢」を持って貰わねば「教育の根本」は成り立たない。
・ 国や国情が揺らいでいると自信を持ったメッセージを学校は発信できなくなることを心配している。「苦労して会社に入ったら倒産」「頑張っていたのにリストラ」と身近に目に入る光景が若者に覚めた「シラー」とした虚無感を与えては成らない。
・ 一時よりは言われなくなったが「勝ち組」と「負け組」がはっきりしてきた感じがする。境界がはっきりし、小数の勝ち組が圧倒的に多い負け組を支配するような感じである。
・ 圧倒的に多い負け組は本人の努力とは別の次元でますますの負け組に追いやられている感じである。「一億総中流の時代」は完全に昔のことになった。しかし教育に携わる者はこの現象に絶望してはならないと思う。私は「若者に夢と志」を持ってもらう努力を惜しまない。「現状を脱却し得るツール」はやはり「教育しかない」と思うからである。