2009年12月26日土曜日

12月26日(土)精神疾患にかかる先生







・ 「教職員病休最多8578人」との本日の朝日の朝刊見出しである。産経は「心の病教職員最多5400人」とある。昨日文部科学省は調査結果を発表したが、「16年連続の増加」で、調査を始めた昭和54年度の約8倍になったと言う。
・ 病気休暇の8578人は前年度より509人増えて過去最多であるがこのうち「うつ病」や「精神疾患は5400人」で、こちらのほうも対前年度比で405人増と過去最高という。「精神疾患は病気休職全体の63%」というから異常に高い。
・ 精神疾患による休職は10年前に比べて3.15倍に増えており、全国の教育委員会の聞き取り調査によれば「多忙な業務によるストレス」「教育内容の変化についていけない」「保護者や地域からの要望の多様」などが背景にあると発表している。
・ 朝日の記事では「教員同士のコミニュケーションが少なく相談相手がいないという訴え」が目立ったとあったが、私に言わせれば「冗談ではない、子供でもあるまいし。相談相手を作れば良いのであって、いる、いないの話しではない」だろうと言いたい。
・ しかし「事の本質」を見逃してはいけない。文科省の調査結果を見ると精神疾患で休職した教職員は「50歳代以上が37%、40歳代が36%と7割以上を占め20代はたったの7%」である。
・ 経験の少ない若い世代の教員が様々な仕事に追いまわされた結果、「心の病」に陥るのは分からないでもないが「酸いも甘いも」味わってきた「経験20年、30年のベテランが精神疾患に罹る」のが私には良く分からない。
・ 「それって本当?」と聞き返したくらいだ。それに勤務時間だって若い世代は遅くまで残って仕事をしているがベテランは「時間休」を頻繁に取って「悠々自適」としておられるというのが私の偽らざる印象である。
・ 学校種別では「小学校が44%、中学校が30%、高校が16%」である。小学校、中学校に多いというのは分かるような気がする。その理由は後述しよう。子供が小さいからとか「モンスターペアレンツ」とかが理由ではないと私は思っている。
・ 一方懲戒、訓告、論旨免職などの処分の状況も文科省は明らかにした。それによると「個人情報の不適切取り扱」が277名と前年度から59人も増えている。調査項目に設定した05年度以降で最多という。これは本校も気をつけなければならない。
・ 「セクハラを含めたわいせつ行為による処分」は176人で前年度比で12人の増で被害者の内訳は「自校の児童生徒」が49%、「自校の卒業生」が3%、「自校以外の18歳未満」が15%もいたという。「教え子で52%を占める」のだから「許されない行為」である。手っ取り早いとでも言うのか。
・ 処分理由で最も多かったのは交通事故の2502人で28人の増、体罰は376人で5名の増だった。調査対象は全国の「公立の小中高の教職員91万5945人」というから徹底している。
・ 本校は嬉しいことに現在病気休暇中の教職員はゼロで、「精神疾患を患っている先生もゼロ」である。今年の実績で言えば人事上の処分は戒告が1件、厳重注意処分が2件であった。体罰事件は3年前に一件あったがその後は発生していない。「極めて健全な職場である」と言える。
・ 以上は表面に出た数値で実態はもっとひどいと考えておいた方が良いと思う。今朝の各紙には詳細に下記の事件を報道している。「大阪市立中学の教諭が電車内で女子大生の尻を1分間にわたって触り、逮」された。
・ 曽根崎署によればその教諭は「ストレスが溜まっていた」と容疑を認めていると書いてある。ストレスが溜まるたびに女子大生のお尻を触られたら堪ったものではない。「ふざけるな」と言いたい。
・ 以上の記事の横にもう一つ信じられないような事件がある。小学校のトイレで「嫌がらせ」のために女性教諭を盗撮したと29歳の男性教諭が懲戒処分にされたとあった。理由は「自分が人間関係で悩んでいるのはこの女性教諭と思い込んでトイレにカメラ」を仕掛けたらしい。過去にも盗撮はあると言うから常習者である。

・ 以上のような実態をどのように分析するかが問題である。精神疾患というとすぐ多忙だとかその職場や組織や保護者や管理職のせいにする向きがあるが、私に言わせれば「とんでもない話」で、教員が忙しくないとは言わないが「病気になるほど忙しいことは全く無い」というのが私の意見である。
・ 本校では「労働基準監督署の指導」を得て現在イントラネットで個々の教職員の勤務状況を把握しており、「時間外労働の実態も把握」している。年間の「有給取得」も他校に比べれば多いほうである。忙しいのが理由になるとは考えられない。
・ それに「教員の年間労働日」は多いとは言えない。夏休み、春休み、冬休み、試験期間と取ろうと思えば機会は多くある。「くたくたんなって働いている」ということは全く無い。少なくとも「蟹工船」ではない。
・ 要は「考えが甘い」のである。精神疾患がこの10年で3.15倍に増えたと言うのはほとんどが40代、50代の教員であり、私の見方はこうだ。要は「学校改革」「教育改革」がこの10年で劇的に叫ばれ進んできたから、それまで状態との「急変についていけていない」のである。
・ 「サボって」いたとは言わないが「平々凡々」と「行事をこなすだけ」であったベテランと言われる年齢層は「改革」というそのものを理解できなったことが背景にあると私は思っている。
・ 「温泉に浸って」いたが突然、厳寒の山中に放り出されたわけだから羅針盤をもともと身につけていない身としては「どう動いて良いのか分からずに」精神に支障をきたしたと私は分析している。
・ 学校の先生は「真面目人間が多い」から余計にそうなる。開き直ればそれはそれで道があるのだが、そこに「人事処遇システム」が出てきたものだから「人から評価されるという行為」に「面食らって」いるのである。
・ 大体、忙しくしている先生は精神疾患などにはなりはしないというのが私の観察である。「自己のアイデンティティ」を確立できず、「チームワークで仕事をする」と言っているのは、実は一人では何も出来ない教員の「詭弁」である。学校には結構こういうタイプが多い。
・ 最近のマスコミや団体などは常套句で「ストレス、ストレス」というがどこに言っても仕事のストレスはある。ストレスが嫌だと言って金剛山の頂上にテントを張って住んでも今度は「孤独のストレス」が来たと言うのだろう。
・ 相談相手がいないと言うが「仕事は元来一人でやるもの」で、団体はすぐ「同僚感、同僚性」などというが同僚に頼ろうとするから何時まで経っても「独り立ち」出来ないのではないか。
・ 上司から厳しく叱られたこともない教員、生徒を人質にした「クラス王国の王様」などでは変化に弱いことは分かっている話である。91万人のうちの5400人を多いと見るかどうかだが私は0.5%程度でありそれほど神経質になる必要は無いのではないか。
・ 問題だというのであれば一体全体「どうせよというのか」逆に問いたいくらいである。99.5%の先生は歯を食いしばって頑張ってくれているのである。私学は民間企業である。民間企業の社員の厳しさや辛さを忘れてはならない。