2010年2月7日日曜日

2月7日(日)大学新卒無業者10万人




・ 「大学4年新卒無業10万人」「卒業まで就活続ける」「学費減免など留年制度見直す大学も」などとは2月4日の日経新聞の記事である。要は「不景気が大学生の就職活動を直撃」しているという。
・ 卒業を間近に控えるこの時期になっても企業から「内定」を得ていない学生が例年以上に多いという。「就職も進学もせずに今春大学を卒業する学生は10万人に上る」というから尋常ではない。
・ 記事に拠れば年が明けても「4年生が相次いで就職相談に訪れる」という。ただ会社案内の告示は「大学3年生向け」で4年生向けは「まばら」というから「切ない」話である。「卒業までまだ時間はある。頑張る」と決意している学生など可哀相で見ていられない。
・ ある学生は2008年秋に就職活動に入って商社を中心に約50社の試験を受けたが「内定はゼロ」だという。「もはや業種にこだわっていられない。とにかく早く内定が欲しい」と大学生の「切実さ」が迫ってきてなんとも言えないき気持ちになるのである。
・ 駒澤大学では「卒業後も支援する体制」を整備するというが、就職しない大学生を送り出さざるを得ない大学も「辛い話」だろう。ところが「採用市場」では既卒は新卒と比べて著しく不利に扱われることが多いから大学生の中には「留年」を考えるものが目立って来たという。
・ 「就職浪人」よりも「大学留年」のほうが良いというのだ。やむなく大学の中には留年を選ぶ学生のために「留年制度を見直す」動きも出てきたらしい。すなわち「希望留年制度」というものである。
・ 「もう1年残って就職活動がしたい」「留年した場合の授業料はどうなるのですか」といった声らしいが授業料を半額にする案もあがっているという。面白いのは卒業単位を既に得ているから留年はおかしいので「卒業延期制度」を導入している大学もある。
・ 文部科学省によれば「2009年12月時点の就職内定率は73.1%」前年同期よりも7.4%も下がっている。過去最低で下落率も最大という。08年の「リーマンショック」以降続く不況の影響である。
・ 特に10年度は「無業者が10万人を突破」するとし、これは昨年の約50%も高い数値である。しかし「新卒無業者」とは何と酷い言い方だろう。「フリーター」など一時的就業になる卒業生も2万人を超えると予想している。
・ 就職情報サービス会社によれば「就職氷河期に匹敵しうる水準」という。フリーターを覚悟する学生も少なくないというが、当に「大学は卒業したけれど・・・・」である。一時期「第二新卒」として大学卒業後3年程度の若者を新卒と合わせて採用していた企業も最近はほとんど姿を消した。
・ 全体的に「雇用の受け皿」が縮小しており、「一旦無業者やフリーターになった若者が正社員になるのは難しい」との話もある。すでに多くの企業は現3年生を対象に採用活動をはじめており、学生の意識改革も欠かせないとしている。
・ しかし「大企業志向」「安定志向」を考えるなという意識改革を迫ってみても少ない採用枠に志望者が殺到し就職活動からこぼれ落ちる学生を大量に生んでいるのは間違いないことであり、国や行政が本格的に支援に乗り出さないと大変なことになる。

・ 本校でこれらの話を裏付けるような事例があった。体育科の常勤講師の先生が急遽「お国に帰る」こととなって後任の先生が必要となったので「ネットに公募」したら3日で一人の採用枠に60名以上の新卒を含めた先生が応募してきたという。私は副校長に「新卒で女性の体育の教師」が唯一の条件とした。
・ 半分近くは新卒の教員希望者だったというから如何に今、大学で保健体育専門の教師希望者が就職を待っているかということである。結局東京女子体育大学の新卒で故郷は新潟県の長岡市と言われるから、全く関西とは遠いというどころではない遠方の方に決まった。
・ それでも「大学の就職支援センター」のご担当は本校の副校長に丁寧にお礼を言われたそうだ。その学生は早速「東京から深夜高速バスに乗って」学校に来られ、その日のうちに長居近辺に住居を探したそうである。お会いしたがよい先生になりそうなお方であった。「大学新卒の就職難を物語る話」である。

・ 高齢者社会といって一方では「お年寄りを継続雇用しなさい」といって「法律まで作り」、日本の将来を担う若者は「就職浪人、フリーターや派遣村に追いやる」のでは国は滅ぶ。大体団塊世代やその前後の人々は相対的に今まで十分に働いてお金を持っている筈である。子どもさんも教育を終えて独立されているはずである。
・ 今この時こそ、これらの集団のうち「可能な人々」は「現役から引退」して「若者に雇用の機会」を与えるという考え方もある。私は本年、このような趣旨から「早期退職割増金を支払うセカンドキャリア支援プラン」と「専任教諭から非常勤講師への転進制度」を創設して教職員に告示した。雇用は守るのである。
・ 勿論強制であってはならない。しかし結果として3名の58歳以上の専任教諭が「身を退く。自分は非常勤で良いから、若い常勤講師の先生を専任教諭にしてやって欲しい」と申し出てくれた。私は涙が出るほど嬉しかったのである。
・ 本校では58歳以上では年収規模は1000万円近くになり共済年金など入れれば1200万円以上のコストである。これが若い世代の先生に置き換われば6名から7名の先生を専任教諭に採用できるのである。「私は昔から若者の味方だ」。若者にチャンスを与えたい。
・ 身を退いてくれたベテランの先生のためにも今年は「思い切った専任への登用」を考えている。例年3名とか4名であるが少なくとも「倍増」は考えている。そうすれば来年又大学の新卒の先生の卵をまずは常勤講師として採用できる。本校の採用規模は小さいがそれでもやらないよりは益しであろう。
・ 一方事務長には「新武道館建設」や「堺の校外グラウンド整備」などで事務の仕事が「オーバーフロー」してきており、事務室勤務の男性職員1名と校務員さん1名の採用に入るべしと指示したのである。これもささやかながら雇用情勢改善への本校としての社会貢献と考えているのである。