2010年3月10日水曜日

3月10日(水)年間変形労働制の成功







・ 昭和63年4月1日施行の「労働基準法改正」によって昭和22年以来の1日8時間・1週間48時間労働制を1日8時間・1週間40時間に段階的に縮小する「大改正」が行われた。私はこの時、前職の製鉄所の工場長であった。今から21年前の43歳である。
・ 当時、この大改正をどのように受け止めたのか全く記憶にない。働き盛りの年代で「労働時間など全く気にしていなかった」のだと思う。いわゆる「猛烈社員」であり「企業戦士」だった。今にして思えば「がむしゃらの時代だった」と思う。
・ 「何が労働時間だ!会社に泊まりこんでも働く」という感じだったろう。実際鉄鋼会社の社員は「セブン・イレブン」と言われよく働いていた。朝は7時から夜は11まで働いていたからセブンイレブンなのである。
・ その後労働時間は段階的に短縮されて平成3年4月からは週44時間に定められた。「特別措置法」の制定などがあって平成6年から名実共に「労働時間は週40時間にすること」「1年以内の変形労働時間制を設けること」等が規定されたのである。
・ ただ「学校教育法1条の高等学校以下の教育職員」は遅れて平成14年までは特例で週44時間であったが同年4月1日以降は週40時間へと移行した。学校の先生はスタート時点から時差があったのである。
・ 平成14年と言うのは私が府立高校に校長として赴任したまさにその時であった。即ち「公立高校が完全に週休二日制に移行した年度」であった。しかし丁度その頃「生徒の学力問題」が大きな社会問題となり始めた時期でもあり「ゆとり教育の弊害」など喧伝され、「痛し痒しの週休二日制」であったことは記憶にある。
・ 当時の9学区のトップ校は実態としては土曜日講習をしており私が着任した高校でも「土曜講習」を先生方にして貰うのに相当神経を使い、とどのつまり外部教育機関と連携して英数国について1年生対象に土曜講習を導入するなど大騒ぎになったのを今でも覚えている。
・ 「労基法32条は1日の労働時間を8時間と定め使用者は労働者に1日8時間を超えて労働させてはならない」ことになっている。これは法が定める「労働時間の原則」である。これを「法定労働時間」といい、又1週間の法定労働時間は休憩時間を除いて40時間であり、これを超えて働かせてはいけないのである。
・ しかし学校の先生は「機械現場でスイッチを押して始まる仕事ではない」し「電源を落として今日の仕事は終わり」というような性格のものではないのである。この学校の教員の労働時間管理の難しさはこの職業の持つ「宿命的な所以」なのである。
・ 公立学校の教員は「条例」という法律で規定できるから時間外労働の取り扱いの考え方は明確で非常に上手い。「調整手当て」という考え方の導入で今日まで問題なく来ているが問題は私立学校である。
・ 私立学校は見た目「公立準拠」のようであるが、実態は公立ではなくて「私企業」であり、労働時間については「労働基準法の適用を受ける」。ここが根本的に公立教員と私立教員の違うところである。スト権もあるのである。
・ ところがこの極めて重要な部分を、長い間「曖昧模糊」としてきたのである。私立学校教員の時間外労働問題を「見て見ぬふり」とは言わないが実態としては「ほったらかし」にして来たのが実態であろう。
・ しかし「世の中は何時までもそう甘くはない」のであって労働基準監督署は「目こぼし」というか「放置」を是正しようと動くようになってきた。これは「過労死」や「サービス残業問題」などが社会的問題になってきたことと関係していると私は考えている。
・ 「教員の時間外労働を管理していますか?」「三六協定を結んでいますか?」と来たのである。要はちゃんと取り決めて「時間外労働には残業代を払えよ」と指導に入ってきたのである。今大阪の私学はこの問題で「てんやわんやのお騒ぎ」にある。
・ 私は着任後この事態を直視し今後の動きを予想して府内の、恐らく日本でも例が多くないと思うが3年前に教職員と「三六協定」を結び「時間外労働手当てを支払う」ようにしたのである。これは我ながら「画期的なこと」であったと思う。
・ しかし労働基準法の精神は「労働者の安全と健康を守るものであり」、残業代を払うことが目的ではない。特に学校などは学校行事の関係で日別に労働時間に差が必然的に発生するものである。
・ 我々の生活の糧の源である「入試説明会」において時間が来たので「私はお先に失礼して帰ります」とは成らないのである。結局我々が結論としたのは「年間変形労働制」の導入であった。
・ これは使用者たる私が労働者の過半数を代表とする者との「書面協定」により「変形期間の起算日、有効期間等」を定め、「労働基準監督署長に届けなければならないとう厳格な条件」があるが、柔軟性があって「学校の教職員の勤務には合致」すると考えたのである。
・ 試行錯誤しながら3年経ってこの年間変形労働制も軌道に乗ってきた。22年度が3年目と成る。教員もなれて来て事務室との連携プレーで「作り上げる」というスタイルが良い。今や担当レベルで上手く「学校暦」を作ってくれているのである。
・ 本校の特徴は「忙しいときは働いて貰う」が「お盆とお正月」は「連休を入れてリフレッシュ」して貰うように配慮している点である。例えば8月は5日から16日まで日曜日を入れて「連続で12日間の休み」とし、年末年始は12月28日から1月5日まで「連続9日の休み」としている。帰省したり交通の混雑を避けたりする配慮もしているのである。そして余った有休は希望によって「買い取り」もしているから配慮この上ないと私は自画自賛している。
・ この夏冬の長期休暇は「教職員の評判が良い」みたいで堂々と休めるわけだから何ら気兼ねすることもなく皆さん楽しみにしていると言う感じである。年間勤務日は280日目一杯で年間労働時間2085.3時間ですべて法定のうちにある。
・ 具体的には「年間勤務カレンダー」というものを作って全ての月と日の始業時間と終業時間を示すものである。職場としては三ヶ所に分け「高校勤務カレンダー」「中学勤務カレンダー」「事務室勤務カレンダー」となっている。