2010年4月21日水曜日

4月21日(水)その2:教員の精神疾患


・ 「その1」に引き続いて「心の健康」について更に論考を発展させてみたい。ちょうど良い資料があった。「昨年12月26日の私のブログ」である。「教職員病休最多8578人」との朝日の朝刊見出しである。「その2」はこのブログを再度論考してみたい。関連性があるからだ。
・ 産経は「心の病教職員最多5400人」とある。文部科学省が調査結果を発表したもので、「16年連続の増加」で、調査を始めた昭和54年度の約8倍になったと言う。その1は大阪府の数値であるから比較すると面白い。
・ 病気休暇の8578人は前年度より509人増えて過去最多であるがこのうち「うつ病」や「精神疾患は5400人」で、こちらのほうも対前年度比で405人増と過去最高という。「精神疾患は病気休職全体の63%」というから異常に高い。
・ 精神疾患による休職は10年前に比べて3.15倍に増えており、全国の教育委員会の聞き取り調査によれば「多忙な業務によるストレス」「教育内容の変化についていけない」「保護者や地域からの要望の多様化」などが背景にあると発表している。
・ 朝日の記事では「教員同士のコミニュケーションが少なく相談相手がいないという訴え」が目立ったとあったが、私に言わせれば「冗談ではない、子供でもあるまいし。相談相手を作れば良いのであって、いる、いないの話しではない」だろうと言いたい。
・ しかし「事の本質」を見逃してはいけない。文科省の調査結果を見ると精神疾患で休職した教職員は「50歳代以上が37%、40歳代が36%と7割以上を占め20代はたったの7%」である。
・ 経験の少ない若い世代の教員が様々な仕事に追いまわされた結果、「心の病」に陥るのは分からないでもないが、結果は逆で「酸いも甘いも」味わってきた「経験20年、30年のベテランが精神疾患に罹る」のが私には興味深い。
・ 「それって本当?」と聞き返したくらいだ。それに勤務時間だって若い世代は遅くまで残って仕事をしているが、一般的にベテランは「時間休」を頻繁に取って「悠々自適」としておられるというのが私の偽わらざる印象である。
・ 学校種別では小学校が44%、中学校が30%、高校が16%である。小学校、中学校に多いというのは分かるような気がする。その理由は後述しよう。子供が小さいからとか「モンスターペアレンツ」とかが理由ではないと私は思っている。
・ 以上は表面に出た数値で実態はもっとひどいと考えておいた方が良いと思う。とにかく同じ日の新聞各紙には詳細に下記の事件を報道している。すなわち「大阪市立中学の教諭が電車内で女子大生の尻を1分間にわたって触り、逮捕」された。又最近の大きな事件では「府立高校の教頭が大麻を吸って逮捕」された。
・ 警察に拠ればこれらの教員は「ストレスが溜まっていた」と言っている。ストレスが溜まるたびに女子大生のお尻を触ったり、大麻を吸われては堪ったものではない。「ふざけるな」と言いたい。
・ 以上のような実態をどのように分析するかが問題である。「精神疾患というとすぐ多忙だとかその職場や組織や保護者や管理職のせいにする向き」があるが、私に言わせれば「とんでもない話」で、教員が忙しくないとは言わないが「病気になるほど忙しいことは全く無い」というのが私の意見である。
・ 本校では「労働基準監督署の指導」を得て現在イントラネットで個々の教職員の勤務状況を把握しており、「時間外労働の実態も把握」している。年間の「有給取得」も他校に比べれば多いほうである。忙しいのが理由になるとは考えられない。
・ それに教員の年間労働日は多いとは言えない。夏休み、春休み、冬休み、試験期間と取ろうと思えば機会は多くある。「くたくたんなって働いている」ということは全く無い。少なくとも「蟹工船」ではない。
・ 要は「考えが甘い」のである。精神疾患がこの10年で3.15倍に増えたと言うのはほとんどが40代、50代の教員であり、私の見方はこうだ。要は「学校改革」「教育改革」がこの10年で劇的に叫ばれ進んできたから、それまで状態との「急変についていけていない」のである。
・ 「サボって」いたとは言わないが「平々凡々」と行事をこなすだけであったベテランと言われる年齢層は「改革」というそのものを理解できなったことが背景にあると私は思っている。
・ 「学校という温泉に浸って」いたが突然、厳寒の山中に放り出されたわけだから羅針盤をもともと身につけていない身としては「どう動いて良いのか分からずに」精神に支障をきたしたと私は分析している。
・ 学校の先生は「視野の狭い真面目人間が多い」から余計にそうなる。開き直ればそれはそれで道があるのだが、そこに「人事処遇システム」が出てきたものだから「人から評価されるという行為」に「面食らって」いるのである。生徒の評価は好きだが自分の評価はどういうものか分かっていないのである。
・ 大体、忙しくしている先生は精神疾患などにはなりはしないというのが私の観察である。「自己のアイデンティティ」を確立できず、「チームワークで仕事をする」と言っているのは、実は一人では何も出来ない教員の「詭弁」である。学校には結構こういうタイプが多い。
・ 最近のマスコミや団体などは常套句で「ストレス、ストレス」というがどこに言っても仕事のストレスはある。ストレスが嫌だと言って金剛山の頂上にテントを張って住んでも今度は「孤独のストレス」が来たと言うのだろう。
・ 相談相手がいないと言うが「仕事は元来一人でやるもの」で、団体はすぐ「同僚感、同僚性」などというが同僚に頼ろうとするから何時まで経っても「独り立ち」出来ないのではないか。赤信号皆で渡ろうということだ。
・ 上司から厳しく叱られたこともない教員、生徒を人質にした「クラス王国の王様」などでは変化に弱いことは分かっている話である。91万人のうちの5400人を多いと見るかどうかだが私は0.5%程度でありそれほど神経質になる必要は無いのではないかと思っている。大阪府も同じような数値だろう。
・ 問題だというのであれば一体全体「どうせよというのか」逆に問いたいくらいである。99.5%の先生は歯を食いしばって頑張ってくれているのである。私学は民間企業である。民間企業の社員の厳しさや辛さを忘れてはならない。