2010年5月20日木曜日

5月20日(木)文化クラブの支援





































・ 「スポーツ・進学・就職内定率」「私学助成 実績で加算」との見出しである。5月14日の読売新聞である。記事の中味は想像できるようにスポーツや進学で優れた結果を残した学校に「助成額を加算」するというものである。
・ 一言で言えばその学校で「誇れるものを持ちなさい」ということであろうが、遂に学校にもここまでこのような「実績評価主義」が来たということだろう。「何か学校も証券会社みたいになってきた」と感じる人もいるのではないか。
・ 知事は「生き残れない学校には退場して頂く」と極めて明快である。更に「重要なことは切磋琢磨。経営が成り立たなくなる学校が出てきても止むを得ない」と述べている。とにかく知事は「市場競争主義」で、公立高校、私立高校を同じ舞台にして競争原理主義を導入しようとしているのである。
・ 今進めている国と府の私立高校支援金・補助金制度で私立高校もご家庭の所得によっては無償化になるから、そういう意味では「お金がないから私学には行けない」とはならなくなってきている。
・ 府は来年度入学生から募集が始まる「超進学指導重点10校」やピアノコンクールに優秀な成績を上げた府立夕陽丘高校に1億数千万円は配分されたという。「公立ばっかりで私学にも出さないといけない」と気付き、今回の発表に繋がったものだろう。
・ 言葉の響きやニュアンスに抵抗があるかも知れないが基本的に「悪い話」ではない。元来「競技というのは勝つことが最高の教育」である。生徒に勝たせるために私学経営者は「しっかりと応援せよ」「良い成績を残せば幾分大阪府からも応援しましょう」というものだから抵抗する理由は何もない。
・ 私は着任以来「部活動には支援を惜しまず」やってきた積りである。どちらかと言うと前職が超進学校の校長だったし、そこでやってきたことは「進学実績を伸ばす」ことが主体であったから「イメージ的には進学シフトの木村」というものだったに違いない。
・ 言い換えれば前の学校では「進学実績を上げないと学校そのものの存在の意味はない」というようなものだと思い、頑張ったが当時は教員と激しく論争する私に対して一部の評論家諸氏は「進学実績の数値目標は時代錯誤のノルマ主義」とかなんとか言われてコテンパンに批判されたものだった。
・ しかしトップが替わればここまで変わるかという典型的例で橋下知事が誕生して「大阪府の教育も様変わり」となった。前述したように府教委は「超進学重点校を10校」認定して世界の公立高校トップを目指すと言う。徹底的な進学シフトである。
・ あれほど団体は私に批判したくせに今ではこれらの進学シフトの批判の声が上がっていないのはどうしたことかと首を傾げるが、もうどうでも良いことである。とにかく学校には学校単位で「ミッション」というものがある。
・ 学区の決まっている公立高校はこのような特色作りと経営資源配分をしなければどうにもならないだろうから私は府教委の方針は理解できる。「堀川の奇跡」とか言われて京都市立堀川高校の進学実績の劇的な転換は学校だけの力で出来るものではない。
・ それなりの生徒が集まるように教育委員会が仕組めば後は学校と言うか生徒自身の力で学校は進化するものである。この堀川高校は今では知らないが「部活動、特に運動部は遠慮して貰っています。部活がしたければ他校へ行ってください。」と当時の校長は私の目の前で言ったことがある。これも特色の一つである。
・ 和歌山県にある超有名な私立高校は「クラブと言えば硬式野球部だけで他のクラブはない」という。常時甲子園を目指し確かに「甲子園常連組」である。そして進学実績も素晴らしい。しかし野球部以外にはクラブがないというのも何か切ないがこれも特色である。
・ 私立高校というのは「進学も、運動も素晴らしい」というのが理想的な姿である。確かに大阪桐蔭高校さんも履正社さんも清風学園さんも進学とスポーツを両立させている。以上のような学校を「文武両立の学校」というのであろう。
・ 人間個人には「文武両道」であるが「学校は文武両立」か。さて振り返って本校はどうか?「ウーン」と唸らざるを得ないところがあるというのが正直なところであるが「着実に伸びてきている」。昨年度は高校総体で「男子総合優良校」に選ばれた。
・ 決して悪くはないがそうかと言って「進学もスポーツももう一団の上昇」が欲しい。スポーツは大変良くやってくれてはいるがもう一つか二つ「強いものが欲しい」のである。進学実績は今年から「特別水際作戦」を展開してくれそうだし来年入試は期待できそうである。
・ しかし部活動だけは「蓄積も必要」で校長が「ギャーギャー」言ったからと言ってすぐ強くなるものでもない。要は学校全体が「その方向に向いている」という感覚が重要で私は着任以来冒頭に書いたように部活動を支援して来たのである。
・ まず文化部から始めたのだが、男女共学にしたこともありまず「吹奏楽部」と「雅楽部」の「特別支援」から始めた。特別支援とは「口は出さず、金だけを出す」ということである。この二つのクラブの経験から「校長が支援すれば生徒は間違いなく応えてくれる」ということであった。
・ 吹奏楽部は「定期演奏会」を開くまでになり、地区大会での上位入賞から今年は本戦に出場できるところまで実力が上がってきた。雅楽部も着実に力をつけて特に外部での活躍が目覚しい。
・ 雅楽部とインターアクトクラブはこの8月にロータリークラブのご支援で韓国の高校と交流計画があり「教員3名生徒11名の韓国行きを計画」している。又11月には「千早赤阪村の棚田をイリュミネーションで飾るイベントへの出場依頼」を正式に村長から受けているのである。
・ 吹奏楽部はなんと「関西ジャズ協会の演奏会」が来年の1月にサンケイホールであるのだがそこに「出場しないか」とのお話をジャズ協会の大塚善章会長先生から戴いている最中である。「恐れ多い話」である。
・ 来年度からは「茶道部」が発足する。これを特別支援クラブとして今はまず顧問の先生を「養成中」である。私が人物を見込み、この4月には専任教諭に格上げし採用した先生である。別にお茶人になる必要はないが「高校の立派な茶道の顧問先生」になって欲しい。
・ 恐らく「浪速高校のお茶室」は大阪の教育界で有名になるだろう。私は茶道部については外部との連携、地域との密接さを謳い文句にして育てて行きたいと思っている。大きなお茶会などの貸し会場として外部に開放しても良いと思っているのである。その「新武道館は遂に明日地鎮祭の運び」となった。感無量である。