2010年8月20日金曜日

8月20日遍路行十三日目 高知市内に入る

十三日目 8月20日(日)   遂に高知市内に入る

昨日の40キロの歩きと59歳の叔父さん二人の話でいささか疲れ気味。肉体なら分かるが心が疲労するとしんどい。大体日曜日にはこのようになる。何故だろうか?「サンデーブルー」か。僕には若干鬱の気がある。僕は今軽い鬱状態です。
先週の日曜日は徳島市内のホテル、今日の日曜日は高知市内のホテル、民宿は止め、タウンホテルでくつろぎたい。今はこれだけが楽しみであった。NHK「巧妙が辻」一豊、千代の土佐24万国の城下町に入る。本場の“かつおのたたき”を食べるぞ

① 丸米旅館、6時30分朝食、支払い7430円、あまり愛想の良い女将さんではなかったがまあ、可もなし不可もなしか。べたべたしないのも心配りの一つです。大日寺前まで歩いて戻り、29番国分寺を目指す。香美市、南国市に入る。距離8キロ、9時30分29番を打つ。早く高知市内に入りたいと考えれば気がせく。しかし脚が重く、距離が長く感じる。国分川を渡り、緩やかな国道登り道である。高知県立歴史民族資料館、高知大学医学部などを左に見ながら登る。12時逢坂峠を越えたところで高知市の標識となる。峠から市内が一望できる。それにしても逢坂とは。高知も天然の要害(?)である。二十九番「魔尼山国分寺」を打つ。良いお寺であった。そこからの道は下りで、漸く四国霊場三十番札所「百百山善楽寺」に到着。土佐神社と並んで建っていた。由緒書きには一豊から70石の扶持を戴いたとある。これも千代が決めたのかなと思った。




② ところが「善楽寺」から楽しみとしていたホテルまでが長い、長い。本当に厭になった。人間、目標を低くするとそれに馴染んでしまい、闘う意欲を失うのか。もう歩く戦いから逃げているのだ。40キロ歩くと決めれば絶対に歩く。余力を残して到着するのに目標を低く設定すれば一向にホテルに着かない。まさかホテルが逃げるわけでもあるまいに遠くに逃げる感じなのである。JR高知駅前から国道32号線を「はりまや橋」まで下り、右折し県庁前を通り過ぎればようやく「オリエントホテル高知」となる。場所は県庁に近いところにあるが、まあまあのグレード゙。仕方がない。ここしかなかったのである。



③ やることは多い。まず調子の悪いリュックの修理だ。エアーサロンパスも買わなければ、新しいパンツも一枚欲しい。何を食べるか、高知城に一応入ってみるか。まず湯船に水をため、冷水の中でリフレッシュを図る。気持が良い。半パンにTシャツで空のリュックを抱えてホテルを出る。目抜き通りにあるスポーツショップを探し、2件目でリュックの部品をゲット。助かった。胸帯を紛失していたのでザックが肩に食い込んで痛かったが明日から少し助かるか。帯屋町とか言う繁華街はそれなりのレベル、お城は今まさに「土佐24万国博」をやっていた。「碁石茶」というものに興味があったが荷物になるので買うのを止めた。お茶が好きなんです。



④ 全ての用事が終わった段階で少し早いが、食事を考える。8時前にはホテルに帰り、NHK-TVを観なければならない。まさか「巧妙が辻」を高知城の側のホテルで観ようとは思いもしなかった。お城の側に「ひろめ市場」というものがあり、多くの人々が食べたり買い物をしたりしている。言ってみれば「フードコート」である。「鰹のたたき」にすぐ決めた。藁焼きといい、ニンニク、ショウガ、刻みねぎ、なんとこちらの人は塩水をかけて食するというのだ。それに従った。いやー旨かった。初めて食べる本場鰹のたたきであった。ジョッキの生ビールと極めてよく合うのだ。メインはサバの押し寿司、これも身が厚くて歯が立たないくらい、とにかく旨い。高知の人々は室戸の民宿でもそうであったが本当に旨い魚の食べ方を知っている。





⑤ ホテルで洗濯の段取りをするが全館中学生ばかりでどうしようもない。大きな大会があって全国から多くの中学生が来ているのである。洗濯物が洗濯機の前に山のように積んである。ホテルでの洗濯は諦めてフロントに聞いて、市中のコインランドリーに行くもここも中学生で満杯。「しまった。」と思えども時既に遅し。結局夜遅くホテルで洗濯することになった。


⑥ ここで歩き遍路の1日当たりの経費を整理してみよう。


   ・宿    7000円前後
   ・納経代  納経帳とお軸で800円  これは霊場会の決まりで統一料金
   ・ペットボトル代     750円  @150円で5回くらい
     ・洗濯機使用代 100円   乾燥機使用代  200円   計300円
   ・昼食代    600円   飛ばしたりすることもある
大体1日10000円位かかると考えておれば間違いない。従って歩き遍路とは結構コストのかかる旅なのです。


⑦ 疲れ切った高知入りであったが、少し快方に向かう。僕の真夏の旅も終盤に差し掛かってきた。後悔はない。良く歩いた。この酷暑、炎暑、地獄のような照り返しの中をしっかりと良く歩いた。これを知っている者は少ない。それで良い。ただ歩いた。ごまかしなしに本当にかっちりと、しっかりと歩いた。誇りにする事でもないが、やはり「やるときは徹底する」のが僕の「生き様」です。何時も手を抜かず、徹底的に完全主義で進めます。これが時に周囲との軋轢を生みます。しかし男60歳にもなって今更いい加減な仕事も出来ません。自分では決して「強い男」とは思っていませんが、果たしてどうなんだろうと考えてしまいます。強すぎる男は敵も多いのです。