2010年8月17日火曜日

8月17日 遍路行十日目 室戸岬に立つ

十日目 8月17日(木)   室戸岬に立つ


 台風10号が近づいているが、今日こそ土佐の室戸岬に立つ。中2日ほど札所がなく、ただ歩いたのみであった。今日こそ24番「室戸山最御崎寺」を打つ。23番薬王寺から80キロ、室戸海岸沿いをただひたすら南下した。大師修行の地、初めての室戸である。

① 6時30分朝食、支払い7000円、7時20分「徳増」を出発。昨夜来の雨は上がっているがどんよりとした曇り空。55号線を南下する。左には波音高く、砕け散る浪の花が舞い上がり、荒々しい室戸海岸。「青年大師像」を左に見て、しばらくすると「御廓人窟」に至る。青年空海が修行し悟った場所である。この辺から室戸岬の看板が続く。





時に小雨が降り、慌ててパンチョを出すも、出せば雨は止み、日が照る。そうするともう蒸し暑くなって汗が流れ出る。途中でパンチョを取り除くとホットするが、そうすれば又小雨になる。こういったことの繰り返しが数回あったが、本降りとはならず、多いに助かった。


② ひたすら南下し、二等辺三角形の底辺の岬先端に「中岡慎太郎像」がある。観光客が結構多い。ぐるりと回り、室戸岬灯台、そして24番最御崎寺に到達。11時45分。ゆっくりと歩いた分時間を要したが計算のうちだ。土佐の最初の札所を遂に打った。3日ぶりである。昨日、距離を稼いだお陰である。余裕をもった歩きは気分も楽で体にも良い。





③ 納経所のおじいさん、耳が幾分、お悪いが面白いお方、お軸にある他の寺の字体を見て、「わしはこのようには書けん」と言いながら非常にうまい字で書く。山を下り、丁度12時、昼食にする。小さな町のまさに田舎食堂、叔母さんおひとりが細々とやっておられる。四方山話ではやはり「台風の室戸」になる。豚カツ定職600円。非常に台風に敏感であり、テレビの台風10号のニュースで雨戸を半分閉める。ここに住んで35年、毎年怖い思いがするとのこと。冷たい麦者の美味しかったこと。手助けしてパンチョを着させてくれた。リュックがあるのでパンチョを着るのは結構難しいのだ。お見送りを得て出発。優しいお方であった。


④ 今度は底辺から北上する。土佐の国主、紀貫之が立ち寄ったという室津港の側に25番津照寺(津寺)がある。88番札所でもっとも海に近い札所ではないか。「かじとり寺」とも言い、海の安全も加護されている。現住職の母上が納経所をやっておられるが、「一番小さいお寺で・・」と言われるがなかなか良いお寺である。


⑤ 更に北上し、26番金剛頂寺を目指す。25番と26番とは5キロ程度、それほど離れていないが山道である。小さな山の頂上にある金剛頂寺の麓の民宿「うらしま」にまずザックを預け、身軽になってお寺を目指す。16時、納経札を打つ。荷物がないと本当に楽だ。足が快調に前に出る。




⑥ 16時15分「浦島」に投宿。下り道は早い。まあまあの民宿。いつものように洗濯、風呂と段取りはもう慣れたものである。民宿も昨今市場競争が激しいと見えて,設備投資は結構進んでいる。まずエアコンは必需品で洗濯機、乾燥機も絶対。洗剤と洗濯機は使って良いが乾燥機はまず有料で100円入れねば、動かない。部屋もきれいで布団なども清潔である。大体今回今までに使っている民宿は築間近いもので新しかった。問題は食事の差であろうが、自分にはそれほど食事の内容に気はいかない。清潔が一番と女将さんの気だてではないか。女将さんで民宿は決まるというのが私の結論だ。



 ⑦ これで室戸岬を打った。とにかく東に向いてひたすらに歩いてきたが今度はきびすを90度回して南下である。目標は一路最南端足摺岬となる。ここまで来て引き返すわけには行かない。最早前に進むしかないのである。僕は覚悟を決めた。