2010年10月16日土曜日

10月16日(土)遍路行 後半戦 十六日目

伊予・讃岐二国打ち十六日目(通算三十七日目)



10月16日(月) 遍路行   善通寺の宿坊に泊まる



 昨日の頑張りもあり今日はゆっくり出来る。空海の生まれ育った場所、善通寺で今日は寝ることが出来るのだ。善通寺の宿坊の予約が取れたのである。幸運であった。“お昼にはおいしいうどんでも、食うかい?(空海) ごめんなさい、お大師さま。”

① 昨日の日曜日は死ぬような思いで歩いた。しかし残念なことに遂に忘れ物をしたことに気付いた。先には民宿に時計を忘れ、幸運にもこれは宿のご主人がすぐに気が付いて届けてくれたから、これは助かったが今度のものは何処で失ったか分からないから出てこないし探しようもないのだ。内子町で買った内子座の勘三郎のポスター、ここまで苦労して持って歩いていたが遂に忘れた。恐らく昨日の70番本山寺であろうが自信は無いし、確かめに戻ることなど考えられないことである。思案の最中で完全に忘れた。ポスターのお代金の1500円は良いとしても此処まで一緒に来たのに、残念至極だ。でも不思議に気持ちはサラッとしている。こだわりを無くする、仏の教えが身についてきたのか。背負う荷物を失って返ってさばさばしたような気持ちもある。


② さて今日はゆっくりとできる。朝は7時45分出発、最も遅い宿出である。支払い7000円、ペットボトルのお茶をお接待に頂く。おかずが多くて食べられないくらいだった。9時には71番「剣五山弥谷寺」(いやだにじ)を打つ。なかなかどうして立派なお寺で、山の上にあり、なんと階段が533段も。参った。汗が吹き出てきたのである。しかし手すりが金属で出来ており、そのヒヤリとした汗まみれに体には感覚がとても良い。こういう繊細な感覚が僕の持ち味だと思っているが。参道には俳句茶屋というのがあって、こういう句が書いていました。

 
焚火の輪 女の炎 ふと見たり

 
良いところをついていますが・・・僕なら  


焚火に見る 女の情念 芋を焼く  


駄作ですかね!

③ 昨日は観音寺、今日は善通寺、さすが香川県です、地名にお寺がついています。近くに集中しているのが嬉しい。続いて72番「我拝師山曼荼羅寺」(がはいしざんまんだらじ)、73番「我拝師山出釈迦寺」(しゅつしゃかじ)、少し歩いて74番「医王山甲山寺(こうやまじ)」を打つ。それぞれ特徴があって良いし、第一名前が素晴らしい。丁度12時になり、今日のお昼には讃岐うどんと決めていたのできょろきょろ探していると丁度次の札所に行く途中に格好の手打ちうどん屋があったのでそこに決めたのである。宮川製麺所と看板があり、専用の大きな駐車場があった。製麺所がやっているうどん屋がお勧めとは前から知っていたし何より昼食時に客で一杯になっているかどうかがポイントである。

④ 客は一杯、外にベンチがあり、そこで食べている人も居たくらいだから相当有名なうまいうどん屋なのであろう。良いところを見つけたと僕は喜んだのである。中は煩雑で、きれいとは言いがたいお店ですが、旨いし、安いし、最高でした。セルフです。うどん玉2個で卵、茄子、かぼちゃのてんぷらを自ら選択トッピングして390円、文句は一切ありません。これが本格的讃岐うどんの食べ方です。帰りには何とうどん屋さんからお接待で紙袋にいれた飴を頂きました。お遍路が入っても誰も気にしませんし、まったく普通の光景なのでしょう。さすが讃岐です。

⑤ 次は遂にお大師様が生まれたお寺、75番「五岳山善通寺」、13時着。いやー、その伽藍の広さに驚いた。素晴らしいお寺です。高野山,京都の東寺、ここ善通寺を大師三大霊蹟というそうですが、ここには四国88ヶ所霊場の本部事務局が置かれていることを知りました。さっそく僕はそこを訪ねた。こういうところが僕の性格の一部で、これほど有名になった四国遍路を仕切っている本部事務局とはどのようなものか自分の目で確かめたいのである。お話を色々お聞きしかえり際にお遍路のポスターを頂くことになった。日本全国駅などにPRで張られているポスターである。「人生は遍路、魂の旅」とあった。全くこの通りで僕はこれだけはどこかに置き忘れないように決意したのである。

⑥ 納経を済ませ、宿坊に行った。取れたのはたまたま運が良かったというだけのことで、自宅から電話して予約を入れるにも一杯だと断られましたが、昨日のこともあり、電話したら何とか「OK」だったのです。話している電話の奥で「もう良いだろう、」何やら相談しています。要は団体優先で個人は後回しなのだと瞬間思いました。それはそうで、広い部屋に何人もの団体ツアー客を泊めるか、一人の個人部屋にするか、大きな実入りの差になる訳で、あのタイミングでしか取れなかったのだと思う。運が良かったのである。


⑦ 多くの僧が働いており2交替性の勤務でお坊さんも慣れたものでした。頭に髪が無いことだけが違いで、他はホテルの勤務員みたいで機能的でしたね。部屋は清潔で大きな温泉があり、安くて広い部屋をただ一人で使うことが出来た。ただ食事は幾分貧弱で、部屋にテレビはなく、食べたら寝るしかなかった。幸い僕には旅日記があり、コンセントの電気を使って、遍路行を書いて時間をつぶした。ビールも自動販売機で買って食堂に持参するのであるが、束縛も無く良い宿坊であった。明日は6時から朝の勤行があり、これも楽しみであった。残念ながら風呂は夜9時でお仕舞いで、寝る前に一度お風呂に行こうなどは基本的に出来ない。


⑧ ふと僕は思ったのである。霊場88ヶ所のうち、総合的に考えて何処の国、すなわち、阿波、土佐、伊予、讃岐の4国で何処が一番力を有しているのかということである。政治力、経済力、とにかく総合的に考えて何処の県がもっとも力があるのか、力を入れているのかという疑問である。明日は普通のペース30キロです。札所は76番から80番の国分寺までで遂に札所は80番台に乗ります。88番が結願ですから本当に大詰めになって来ました。涅槃の道場、讃岐香川は何かあっという間に過ぎそうな感じです。